袂を分かつ
「旧友と袂を分かつ」などのように使う「袂を分かつ」という言葉。
「袂を分かつ」は、訓読みで「たもとをわかつ」と読みます。
「袂を分かつ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「袂を分かつ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
袂を分かつの意味
「袂を分かつ」には次の意味があります。
・今までいっしょだった人と関係を絶つ。人と別れる。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「袂」は和服の袖の下にある袋状になった部分のことを指します。この袂は「手元」が語源とされており、手元から別れるということから「袂を分かつ」の言葉が生まれたと考えられています。
また、女性が着る振り袖の袂の部分は、男性から言い寄られた際に振ることで好き・嫌いを表すとされており、このことも「袂を分かつ」という言葉の形成に関与していると言われています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・生きてゆくかぎり、サヨナラという出来事と袂を分かつことはできない。
(出典:森見登美彦『有頂天家族』)
・その機会を作ってくれた阿部社長とは不本意ながら袂を分かつままになっていた。
(出典:川又一英『ヒゲのウヰスキー誕生す』)
・そして、大げさに言えば、袂を分かつようにして退職していったのだ。
(出典:柄刀一『400年の遺言 死の庭園の死』)
・今は、何とか早くこの場を切り上げて、彼らと袂を分かつのが得策だろう。
(出典:貴志祐介『クリムゾンの迷宮)
・被告人である雄次につれない態度を取られ続け、今また花木とも袂を分かつ結果となった。
(出典:姉小路祐『殺意の法廷』)
類語
・離縁(りえん)
意味: 縁を切ること。離別すること。夫婦、または養親子間の関係を断つこと。現代では、一般には離婚についていうが、法律上は養子縁組の解消をいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・勘当(かんどう)
意味:親が子との縁を切ること。江戸時代には奉行所に届け出が必要であった。また、主従関係・師弟関係を断つことにもいった。(出典:デジタル大辞泉)
・決別(けつべつ)
意味:いとまごいをして別れること。また、きっぱりと別れること。(出典:デジタル大辞)
・絶交(ぜっこう)
意味:交際を絶つこと。(出典:デジタル大辞泉)
・手を切る(てをきる)
意味:関係を絶つ。縁を切る。多く、悪い関係・男女関係を断ち切る場合にいう。(出典:デジタル大辞泉)