苦笑
「苦笑をもらす」などのように使う「苦笑」という言葉。
「苦笑」は、音読みで「くしょう」と読みます。
「苦笑」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「苦笑」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
苦笑の意味
「苦笑」には次の意味があります。
・おもしろくてではなく、仕方なくする笑い。返答にとまどったり、不愉快に思っても表面に出せない時などに思わずする笑い。(出典:精選版 日本国語大辞典)
明治時代初期に「にがわらい」の漢字表記「苦笑」を音読みして成立した言葉ではないかと言われています。
または、英語のbitter smileを直訳したものではないかとも考えられています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・自分が今どこにいるか分って思わず苦笑した。
(出典:フレドリック・デイヴィス/小倉多加志訳『0011/ナポレオン・ソロ・シリーズ 第15巻 スラッシュ株式会社』)
・子供の失敗ビデオでも見ているような、苦笑まじりののどかな顔だ。
(出典:喬林知『今日からマ王 第3巻 「今夜はマのつく大脱走!」』)
・同時にこの点でだけはすこしあなたの利害とちがっていると苦笑するの。
(出典:宮本百合子『獄中への手紙』)
・生徒会メンバーも苦笑気味だったので、これ以上いじめるのは控ひかえておくことにする。
(出典:葵せきな『生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録3』)
・理論は実行の後からついてくる、そう思って私達は二人で苦笑もした。
(出典:豊島与志雄『微笑』)
類語
・呆れる(あきれる)
意味:あまりに意外なことに驚く。あっけにとられる。唖然とする。(出典:デジタル大辞泉)
・失笑(しっしょう)
意味:思わず笑い出してしまうこと。おかしさのあまり噴き出すこと。
[補説]文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「こらえ切れず吹き出して笑う」で使う人が27.7パーセント、本来の意味ではない「笑いも出ないくらいあきれる」で使う人が60.4パーセントという逆転した結果が出ている。(出典:デジタル大辞泉)
・愛想笑い(あいそわらい)
意味:人の機嫌を取るための笑い。おせじわらい。(出典:デジタル大辞泉)
・空笑い(そらわらい)
意味:おかしくもないのに無理に笑うこと。作り笑い。(出典:デジタル大辞泉)
・嗤笑(ししょう)
意味:あざけり笑うこと。嘲笑。冷笑。(出典:精選版 日本国語大辞典)