成程
「成程そのとおりだ」などのように使う「成程」という言葉。
「成程」は、訓読みで「なるほど」と読みます。
「成程」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「成程」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
成程の意味
「成程」には次の三つの意味があります。
1 可能な範囲でその限度までつとめてすることを示す。
2 その状態や理屈を改めて確認し、または納得することを示す。
3 相手のことばに対して、その通りであると同意する気持を表わす。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
成程の意味①「可能な範囲でその限度までつとめてすることを示す。」
「成程」の一つ目の意味は「可能な範囲でその限度までつとめてすることを示す。」です。
わかりやすく言えば「できるだけ」や「可能な限り」という意味です。
近世中期以降、「なるべく」「なるたけ」などにとってかわった使い方です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・左右の胸を調べるとなると、なるほど土から掘り出さなければならない。
(出典:国枝史郎『南蛮秘話森右近丸』)
・仙台島の羽織を、成ほどみじかくいたし、此里へ着て参ったれば
(出典:江島其磧『傾城色三味線』)
類語
・なるべく
意味:できる限り。できるだけ。なるたけ。(出典:デジタル大辞泉)
・なるたけ
意味:できる限り。できるだけ。なるべく。なりたけ。なりったけ。なるったけ。なるべくたけ。なるべきだけ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・できる限り(できるかぎり)
意味:可能な範囲で限界に達するまで。できるだけ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
成程の意味②「その状態や理屈を改めて確認し、または納得することを示す。」
「成程」の二つ目の意味は「その状態や理屈を改めて確認し、または納得することを示す。」です。
副詞として用いられる場合と形容動詞として用いられる場合があります。
いかにも、その事が合っていると認め、改めて受け入れることを指します。
わかりやすく言えば「確かに」や「確実に」という意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なるほど博士の白いチョッキがすこしずつ下にさがってゆく。
(出典:海野十三『地球を狙う者』)
・私はその邪気のなさそうな顔を見て、なるほど毒なぞはいっているまいと思った。
(出典:織田作之助『秋深き』)
・なるほど扉の錠まわりが、丸窓ぐらいの大きさにぽっかりと穴があいています。
(出典:海野十三『怪塔王』)
類語
・道理で(どうりで)
意味:そうなる、またそうである道理がわかって納得するさま。(出典:デジタル大辞泉)
・納得(なっとく)
意味:他人の考え、行動などを理解して受け入れること。わかってのみこむこと。理解して肯定すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・果たして(はたして)
意味:結末が予期したとおりであるさま。思ったとおり。案の定。(出典:デジタル大辞泉)
成程の意味③「相手のことばに対して、その通りであると同意する気持を表わす。」
「成程」の三つ目の意味は「相手のことばに対して、その通りであると同意する気持を表わす。」です。
「なあるほど」というように用いることで語を強調した言い方をすることがあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なるほど、すると、十時五十分N村発F町行というのがそれでしょう。
(出典:坂口安吾『不連続殺人事件』)
・なるほど、この線が成長してゐる、この外の線は目下停止してゐますな。
(出典:坂口安吾『金銭無情』)
・なるほど、おめえの云ふ通り、こんなことが聞えたら好くねえだらうね。
(出典:岡本綺堂『権三と助十』)
類語
・御尤(ごもっとも)
意味:相手を敬って、その言い分が理にかなっていることを表わす語。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・宜なるかな(うべなるかな・むべなるかな)
意味:もっともなことであるなあ。本当にそうだよ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・如何にも(いかにも)
意味:相手の考えを強く肯定する意を表す。なるほど。確かに。(出典:デジタル大辞泉)