御中
「宛て名に御中と書き添える」などのように使う「御中」という言葉。
「御中」は、音読みで「おんちゅう」と読みます。
「御中」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「御中」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
御中の意味
「御中」には次の意味があります。
・郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。(出典:デジタル大辞泉)
同じ「御中」という字で「おなか」と読む言葉もありますが、意味は全く異なります。
この記事は手紙に書き添える「おんちゅう」について記載しています。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・何回も書いたことだが、いまだに「御中」の使い方を知らぬのが、あとをたたぬ。
(出典:星新一『きまぐれエトセトラ』)
・それはとにかく「あて名のなんとか係には御中を書き加えろ」ぐらいは、理屈ぬきで教えておくべきだろう。
(出典:星新一『きまぐれエトセトラ』)
・それに御中と書き加えてないのが半分あった。
(出典:星新一『きまぐれエトセトラ』)
・ペン字のくせに一字一画ゆるがせにしない筆法極めて正確な楷書で、なにがし商店御中とある。
(出典:坂口安吾『盗まれた手紙の話』)
・局への投書のなかで、ある学校の児童たちからのはがきだけはみな「御中」と書き加えてあったのである。
(出典:星新一『きまぐれ星のメモ』)
・同時に執事なら〈御中〉ぐらいは書きそうなものだとも思う。
(出典:北村薫『覆面作家は二人いる』)
・重さが超過しているのか、三十円の切手が貼られたその封書の表には「世界経済旬報社御中」の文字があった。
(出典:西村京太郎『夜の脅迫者』)
・「投稿係」とだけしか書いてないのが大部分であり「投稿係行」や「投稿係いき」や「投稿係宛」といったたぐいがまざり、「御中」と書き加えてあるのには、まあめったにお目にかかれない。
(出典:星新一『きまぐれ星のメモ』)