垂涎
「垂涎の的」などのように使う「垂涎」という言葉。
「垂涎」は、音読みで「すいぜん」と読みます。
「垂涎」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「垂涎」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
垂涎の意味
「垂涎」には次の二つの意味があります。
1 食べたくてよだれを垂らすこと。
2 ある物を手に入れたいと熱望すること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
垂涎の意味①「食べたくてよだれを垂らすこと。」
「垂涎」の一つ目の意味は「食べたくてよだれを垂らすこと。」です。
この意味では料理などの食べ物に対して使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・私は目の前を手つかずのまま下げられていく料理を垂涎の思いで眺めていた。
(出典:田丸公美子『パーネ・アモーレ イタリア語通訳奮闘記』)
・通りの屋台に行けば、わずか一本二千ドンで垂涎の味が手に入る。
(出典:平松洋子『アジア おいしい話』)
・テーブルには、藤原君が絶賛し、重さんが垂涎した料理が次々と運ばれてくる。
(出典:万城目学『鹿男あをによし』)
類語
・涎が出る(よだれがでる)
意味:欲しくてたまらないさまにいう。よだれを垂らす。よだれを流す。(出典:デジタル大辞泉)
・惑溺(わくでき)
意味:ある事に夢中になり、本心を奪われること。(出典:デジタル大辞泉)
・懇願(こんがん)
意味:ねんごろに願うこと。ひたすらお願いすること。(出典:デジタル大辞泉)
・目を輝かす(めをかがやかす)
意味:目をきらきらさせる。喜びや期待などで興奮しているさまをいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
垂涎の意味②「ある物を手に入れたいと熱望すること。」
「垂涎」の二つ目の意味は「ある物を手に入れたいと熱望すること。」です。
この意味では、食べ物に限らず、喉から手が出るほど欲しいという意味で使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・受講生たちにとって、それが垂涎の的であることは、容易に想像できた。
(出典:夏樹静子『紅い陽炎』)
・史学者にとっては垂涎ものの古文書を、目の前にしながら失ったのだ。
(出典:梅原克文『カムナビ(上)』)
・それというのがどれもこれも垂涎三千丈の価値あるものばかり。
(出典:海野十三『共軛回転弾』)
・景専門の人がいたら垂涎されるに違いない、いい画題がいくらも見あたった。
(出典:上村松園『余齢初旅』)
・そして、その料理を伝える人は、常に美人で名料理人のお登和さんであり、こんな女房を持ったらと、男性の読者も、垂涎したろう。
(出典:獅子文六『食味歳時記』)
類語
・欲する(よくする)
意味:欲しいと思う。願う。望む。(出典:デジタル大辞泉)
・待望(たいぼう)
意味:待ち望むこと。ある事柄の起こるのを待ちこがれること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・望蜀(ぼうしょく)
意味:《「後漢書」岑彭伝の「人足るを知らざるを苦しみ、既に隴(ろう)を平らげて、復(ま)た蜀を望む」から》一つの望みがかなうと、さらにその先を望むこと。人間の欲望には限りがなく、満足を知らないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・喉から手が出る(のどからてがでる)
意味:ほしくてたまらないたとえにいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)