装う
「けが人を装う」などのように使う「装う」という言葉。
「装う」は、訓読みで「よそおう」と読みます。
「装う」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「装う」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
装うの意味
「装う」には次の二つの意味があります。
1 身なりや外観を整える。また、美しく飾る。
2 表面や外観を飾って、他のものに見せかける。ふりをする。(出典:デジタル大辞泉)
「装う」には他の意味もありますが、上記の意味で使うことがほとんどです。
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
装うの意味①「身なりや外観を整える。また、美しく飾る。」
「装う」の一つ目の意味は「身なりや外観を整える。また、美しく飾る。」です。
「身を装う」で、「外見を整える」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・また、棺の周囲は、彼の業績に感謝する人々の手で美しく装われていた。
(出典:シュリーマン/立川洋三訳『先史時代への情熱』)
・彼は美しく装った女たちとスポーツ服を着こなした紳士を想像していたのだった。
(出典:クリスティ/清水俊二訳『そして誰もいなくなった』)
・夫がいなくなってからは、長いこと身を装うことも忘れていた。
(出典:胡桃沢耕史『旅券のない旅』)
・私が声をかけそびれたのは、彼女が目いっぱい美しく装っていたからであった。
(出典:森瑤子『恋愛関係』)
類語
・装飾(そうしょく)
意味:飾ること。美しく装うこと。また、その装い・飾り。(出典:デジタル大辞泉)
・デコレーション
意味:飾ること。装飾。かざり。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・装丁(そうてい)
意味:出版物の表紙、見返し、扉などの体裁をつくり、外形を整えること、また、そのデザイン。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・彩る(いろどる)
意味:さまざまの色や物を取り合わせて飾る。(出典:デジタル大辞泉)
装うの意味②「表面や外観を飾って、他のものに見せかける。ふりをする。」
「装う」の二つ目の意味は「表面や外観を飾って、他のものに見せかける。ふりをする。」です。
「けが人を装う」で、「けがをした人のように見せかける」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・物がなくなっていることには全く頓着していないという風を装っている。
(出典:佐藤愛子『冥途のお客』)
・事故の被害者を装うだけなら、もっと確実な方法がある気がしますけど。
(出典:三雲岳斗『少女ノイズ』)
・彼もそれをわかっていて、勘違いしたふりを装っていると感じたからだ。
(出典:東野圭吾『容疑者Xの献身』)
・何とか偶然を装って、礼子に怪我をさせることは出来ないものだろうか。
(出典:乃南アサ『躯(からだ)』)
類語
・偽る(いつわる)
意味:事実や自分の本心を隠し、真実を曲げて言ったり、したりする。(出典:デジタル大辞泉)
・騙す(だます)
意味:うそを言って、本当でないことを本当であると思い込ませる。(出典:デジタル大辞泉)
・振り(ふり)
意味:見せかけの態度や動作。ようす。ふう。(出典:デジタル大辞泉)
・偽装(ぎそう)
意味:ある事実をおおい隠すために、他の物事・状況をよそおうこと。(出典:デジタル大辞泉)