暗澹
「暗澹たる気分だ」などのように使う「暗澹」という言葉。
「暗澹」は、音読みで「あんたん」と読みます。
「暗澹」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「暗澹」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
暗澹の意味
「暗澹」には次の二つの意味があります。
1 薄暗くはっきりしないさま。暗く陰気なさま。
2 将来の見通しが立たず、全く希望がもてないさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
暗澹の意味①「薄暗くはっきりしないさま。暗く陰気なさま。」
「暗澹」の一つ目の意味は「薄暗くはっきりしないさま。暗く陰気なさま。」です。
「暗澹とした天気」であれば、「薄暗くはっきりとしない天気」という意味になります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・箇々に見ても、さむらい達の面は、こよいの空のように暗澹としていた。
(出典:吉川英治『新書太閤記』)
・朝、寒さはいよいよきびしく、空は低くたれ、暗澹たる一日が始まった。
(出典:ヘディン/長尾宏也訳『シルクロード』)
・時々星が暗澹たる空から光をのぞかせていた。
(出典:ヘッセ/芳賀檀訳『漂泊の人(クヌルプ)』)
・冬の暗澹たる気候には発狂しさうな焦燥を感じて私は弱つたものである。
(出典:坂口安吾『気候と郷愁』)
類語
・薄暗い(うすぐらい)
意味:ほのかに暗い。(出典:デジタル大辞泉)
・小暗い(おぐらい)
意味:少し暗い。薄暗い。(出典:デジタル大辞泉)
・暗然(あんぜん)
意味:黒いさま。また、はっきりしないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・冥冥(めいめい)
意味:暗いさま。(出典:デジタル大辞泉)
暗澹の意味②「将来の見通しが立たず、全く希望がもてないさま。」
「暗澹」の二つ目の意味は「将来の見通しが立たず、全く希望がもてないさま。」です。
この意味では、「気持ち」に対して使われることが多く、希望が持てない状態や暗く不安げな状態のことを指します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ただ世界はあるがままの姿をとってひとり暗澹と廻っているだけなのだ。
(出典:横光利一『厨房日記』)
・これだけの死者を、行政はどう思っているのか、と暗澹たる気分になる。
(出典:小野不由美『屍鬼(上)』)
・この報告がいかに将来を暗澹たるものにしたか、彼にははっきりわかった。
(出典:クリスティ/一ノ瀬直二訳『秘密組織』)
・これでは出会いから印象最悪ではないかと暗澹とした気持ちになる。
(出典:長嶋有『パラレル』)
類語
・絶望的(ぜつぼうてき)
意味:希望や期待がまったく失われそうなさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・真っ暗(まっくら)
意味:まったく見通しがたたず希望のないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・惨烈(さんれつ)
意味:きわめてむごたらしいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・気鬱(きうつ)
意味:気分がはればれしないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)