斜陽
「斜陽産業」などのように使う「斜陽」という言葉。
「斜陽」は、音読みで「しゃよう」と読みます。
「斜陽」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「斜陽」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
斜陽の意味
「斜陽」には次の二つの意味があります。
1 西に傾いた太陽。また、その光。
2 勢威・富貴などが衰亡に向かっていること。没落しつつあること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
斜陽の意味①「西に傾いた太陽。また、その光。」
「斜陽」の一つ目の意味は「西に傾いた太陽。また、その光。」です。
「斜」は「ななめ」、「陽」は「太陽」を意味しており、「斜陽」は文字通り「夕方に西に傾く太陽」を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あいたままになっていた戸の外に、斜陽を背にだれか立っていた。
(出典:山田風太郎『明治断頭台 山田風太郎明治小説全集7』)
・松杉楢などの疎に生えた林の中には、落ちかかった斜陽が微な光を投げていた。
(出典:田中貢太郎『藤の瓔珞』)
・鈍いオレンジ色の斜陽に照らし出された家は沈没しかかった軍艦に似ていた。
(出典:柳美里『フルハウス』)
・満潮近い水面からの斜陽の反射が、河岸の柳並木の葉裏に戯れている。
(出典:豊島与志雄『自由人』)
類語
・夕日(せきじつ)
意味:ゆうひ。入り日。(出典:大辞林 第三版)
・夕陽(せきよう)
意味:夕日。入り日。斜陽。(出典:大辞林 第三版)
・斜日(しゃじつ)
意味:ななめにさす太陽。夕日。入り日。斜陽。(出典:大辞林 第三版)
・落陽(らくよう)
意味:入り日。夕日。落日。(出典:大辞林 第三版)
斜陽の意味②「勢威・富貴などが衰亡に向かっていること。没落しつつあること。」
「斜陽」の2つ目の意味は「勢威・富貴などが衰亡に向かっていること。没落しつつあること。」です。
太陽がだんだん沈んでいく様子から転じて、栄光からの転落、衰えるといった意味で使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・小説業界が斜陽だなんてことは常のことだから別に気にしてはいない。
(出典:酒見賢一『墨攻』)
・一般には斜陽族と言われても仕方のない人達が一杯いるわ。
(出典:酒井美意子『ある華族の昭和史』)
・その当時はまだ斜陽じゃなかったけれども、お風呂屋さんゆうのも大変な仕事やわね。
(出典:金益見『ラブホテル進化論』)
・科学の神は斜陽をあびて退場しつつある、だが、長いあいだ親しんだ神だ。
(出典:星新一『きまぐれ博物誌・続』)
類語
・衰退(すいたい)
意味:勢いや活力が衰え弱まること。(出典:デジタル大辞泉)
・没落(ぼつらく)
意味:国家や家など栄えていたものが衰えること。おちぶれること。(出典:大辞林 第三版)
・低迷(ていめい)
意味:よくない状態から抜け出せないでいること。(出典:デジタル大辞泉)
・退潮(ていちょう)
意味:盛んだった勢いが衰えること。(出典:デジタル大辞泉)