寂寞
「寂寞の思い」などのように使う「寂寞」という言葉。
「寂寞」は、音読みで「せきばく」と読みます。
「寂寞」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「寂寞」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
寂寞の意味
「寂寞」には次の意味があります。
・ひっそりとしてものさびしいさま。寂歴。じゃくまく。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「寂」と「寞」はどちらも「ひっそりとした」や「さびしい」という意味を持つ漢字であり、「寂寞」は同じ意味の漢字を重ねた二字熟語です。
「寂寞」は「寂莫」と書く場合もありますが、読みや意味はどちらも同じです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・自己の生活にもっと空虚と寂寞と分裂とを意識せねばならないはずである。
(出典:倉田百三『愛と認識との出発』)
・人は死ぬ前には恐らくこの通りの寂寞たる光景と似ていることだろう。
(出典:横光利一『欧洲紀行』)
・乗客たちの中にあっても、彼の心は圧倒的な寂寞感に包まれていた。
(出典:大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン パイン編』)
・マダム自身もそんなときは、一種の寂寞を感じているのであろうともいった。
(出典:長谷川時雨『マダム貞奴』)
・此寂寞たる冬籠のうちに三藏の心の底に穩かならぬ或考へが萌して來た。
(出典:高浜虚子『俳諧師』)
類語
・閑散(かんさん)
意味:ひっそりとしずまること。ものの動きがなくて静かなさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・索漠(さくばく)
意味:心を満たすものがなく、もの寂しく感じるさま。荒涼として気のめいるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・寂寥(せきりょう)
意味:ものさびしいこと。ひっそりしていること。また、そのさま。寂寞。寂寂。じゃくりょう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・荒涼(こうりょう)
意味:荒れ果ててものさびしいこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・索然(さくぜん)
意味:心ひかれるものがなくて興ざめするさま。空虚なさま。(出典:デジタル大辞泉)