唖
「唖のように黙っていた」などのように使う「唖」という言葉。
「唖」は、訓読みで「おし」と読みます。
「唖」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「唖」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
唖の意味
「唖」には次の意味があります。
・発声や聴覚の器官の障害によって、言葉を発することができないこと。音声による話ができないこと。また、その人。聴覚を失っているための言語障害の場合を聾唖(ろうあ)、聴覚は完全で、言語機能だけが失われている場合を聴唖(ちょうあ)という。おうし。(出典:精選版 日本国語大辞典)
わかりやすく言えば「口がきけないこと」という意味です。
「おうし」が変化して「おし」になったとされています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・女中は唖なので、どんな男が尋ねて来ても他人に聞かれる心配はない。
(出典:林芙美子『晩菊』)
・迂闊に口を出すわけにも行かないので、主人夫婦は唖のように黙っていた。
(出典:岡本綺堂『半七捕物帳』)
・しかし唖娘はけっしてお友達の前で泣いたことがありませんでした。
(出典:小熊秀雄『小熊秀雄全集-14 』)
・何度か話しかけて徒労に終わると、私は男は唖だと考えるようになった。
(出典:坂東眞砂子『山妣』)
・昼少し過ぎたころ、私はひとりで唖のような顔をして室の中に坐っていた。
(出典:水野葉舟『遠野へ』)
類語
・言語障害(げんごしょうがい)
意味:ことばを、社会的に妥当と認められるようなありかたで発音したり、理解したりできなくなる障害の総称。吃音(きつおん)、発音不明確、失語症など。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・唖者(あしゃ)
意味:音声で言葉を話すことができない人。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・聾唖(ろうあ)
意味:耳が聞こえず、ことばが話せないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・聴唖(ちょうあ)
意味:聴覚は完全で、言語機能だけが失われていること。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・盲唖(もうあ)
意味:目が見えないことと口がきけないこと。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)