潜む
「岩陰に潜む」などのように使う「潜む」という言葉。
「潜む」は、訓読みで「ひそむ」と読みます。
「潜む」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「潜む」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
潜むの意味
「潜む」には次の二つの意味があります。
1ひそかに隠れる。隠れて静かにする。
2内部に隠れて外に現れない状態にある。潜在する。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
潜むの意味①「ひそかに隠れる。隠れて静かにする。」
「潜む」の一つ目の意味は「ひそかに隠れる。隠れて静かにする。」です。
ただ、見えないように場所を移すだけではなく、探されることのないように厳重な注意を払いながら隠れた場所に滞在することです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・そのまま、わたしが潜む木の横を通り過ぎて食堂に向かっていきました。
(出典:小林泰三『玩具修理者』)
・今立っているこの場所が、敵の潜む戦場である事すら忘れそうになる。
(出典:鎌池和馬『とある魔術の禁書目録 第6巻』)
・目を凝らす内、やがてその暗がりの中に潜むものたちの姿が見えてきた。
(出典:綾辻行人『人形館の殺人』)
・ぼくは次の瞬間、急いで溝の上流側のトンネルに足から体を潜ませていた。
(出典:乙一『ZOO』)
・だから岩と岩の間に潜むどんな魚でも、彼の目から逃れることはできない。
(出典:帚木蓬生『受精』)
潜むの意味②「内部に隠れて外に現れない状態にある。潜在する。」
「潜む」の二つ目の意味は「内部に隠れて外に現れない状態にある。潜在する。」です。
そこにあることを誰にも悟られないように、公表公言を厳重に禁じているような状態のことを言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・人間の意識下に潜む狂気・異常・神秘の世界を見事なまでに描きあげた。
(出典:大槻ケンヂ『のほほん人間革命』)
・それが、身の内に潜む姫神の影響だけだとは、どうしても言いきれない。
(出典:新田一実『死者の饗宴 霊感探偵倶楽部』)
・あいての眼の裏に潜むものをすぐ読んでギクとふるえに襲われたらしい
(出典:吉川英治『私本太平記』)
・お互い内に潜むものが違っていたからこそ、仲がよかったのだろう。
(出典:板東眞砂子『死国』)
・それ等のものに潜む美が認識されるまでに、今日までの長い月日がかかつた。
(出典:柳宗悦『雑器の美』)