翻す
「意見を翻す」などのように使う「翻す」という言葉。
「翻す」は、訓読みで「ひるがえす」と読みます。
「翻す」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「翻す」の主な二つの意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
翻すの意味
「翻す」には主に使われる次の二つの意味があります。
1さっと裏返しにする。
2風になびかせる。ひらめかす。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
翻すの意味①「さっと裏返しにする。」
「翻す」の一つ目の意味は「さっと裏返しにする。」です。
物や身体、心情や態度であったりを意思を持って素早く反対方向へ変えることです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・安道はいったんこうと決心すると、決してその決心を翻さない男だった。
(出典:横溝正史『塙侯爵一家』)
・周囲の者たちが見ている前で、自分の宣言を翻すことは考えられない。
(出典:賀東招二『フルメタル・パニック!8 燃えるワン・マン・フォース』)
・高階病院長は、口にしたことを別の場で翻すようなことはしないだろう。
(出典:海堂尊『チーム・バチスタの栄光(上)』)
・彼女の手を引いて身を翻すと、私は咆哮する竜巻の手を逃れようとした。
(出典:森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』)
類語
・裏返す(うらがえす)
意味:物事を逆の立場から見る。(出典:デジタル大辞泉)
・引っ繰り返す(ひっくりかえす)
意味:今までと反対の状態・関係にする。(出典:デジタル大辞泉)
・覆す(くつがえす)
意味:それまで正しいものとされてきた考え方や決定を根本から変える。(出典:デジタル大辞泉)
・逆転(ぎゃくてん)
意味:事の成り行きなどがそれまでとは反対になること。(出典:デジタル大辞泉)
翻すの意味②「風になびかせる。ひらめかす。」
「翻す」の二つ目の意味は「風になびかせる。ひらめかす。」です。
物理的な力が働いて物質が裏表に動くことです。主に気流や水流によって物の向きが変わることです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・何を満足したのか、東は笑顔でスカートを翻して、消えていった・・・。
(出典:むぅ『「未来に向かって」』)
・リアルト橋を渡っていた人々が、服の裾を翻して岸のほうに走りだした。
(出典:坂東眞砂子『旅涯ての地(上)』)
・スカートが空気を翻し、その足の下を騎士の長銃から生まれた光弾が抜く。
(出典:川上稔『AHEADシリーズ 1 終わりのクロニクル1〈上〉』)
・問おうにも発言主はすでに黒髪を翻し、廊下の向こうへと姿を消している。
(出典:鈴木大輔『ご愁傷さまニノ宮くん 2』)
類語
・はためく
意味:布や紙などが風に吹かれてはたはたと動く。(出典:デジタル大辞泉)
・ひらめく
意味:旗などがひらひらと揺れ動く。また、火が揺れ動く。(出典:デジタル大辞泉)
・靡く(なびく)
意味:風や水の勢いに従って横にゆらめくように動く。(出典:デジタル大辞泉)
・棚引く(たなびく)
意味:雲や霧また煙が横に長くただよう。(出典:デジタル大辞泉)