寸志
「寸志を渡す」などのように使う「寸志」という言葉。
「寸志」は、音読みで「すんし」と読みます。
「寸志」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「寸志」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
寸志の意味
「寸志」には次の二つの意味があります。
1心ばかりの贈り物。
2わずかなさしさわりや不満。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
寸志の意味①「心ばかりの贈り物。」
「寸志」の一つ目の意味は「心ばかりの贈り物。」です。
「寸」は「ほんの少し」、「志」は「思いやる気持ち」を意味する漢字です。
「寸志」は目下の人に贈り物を渡すときに使われ、目上の人には「御礼」を使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・本屋も大喜びだし、僕にしてもありがたい、これは些少だが、約束の金以外の、僕の寸志だ、受けてくれたまえ。
(出典:横溝正史『恐ろしき四月馬鹿』)
・伯父は明智を玄関まで送り出して、お礼の寸志だと言いながら、彼が辞退するのも聞かないで、無理に二千円の金包みを明智の懐へ押し込みました。
(出典:江戸川乱歩『江戸川乱歩全短編01 本格推理Ⅰ』)
・言い終わると同時に、寸志をカウンター越しに差し出した。
(出典:垣根涼介『ヒートアイランド』)
・観桜会に招かれた関取やプロ野球選手、芸能人などには川上から”寸志“が配られる。
(出典:高杉良『呪縛 金融腐蝕列島Ⅱ(上)』)
類語
・中元(ちゅうげん)
意味:お世話になった人に品物を贈ること。(出典:デジタル大辞泉)
・歳暮(せいぼ)
意味:年末にお世話になった人に贈り物をすること。(出典:デジタル大辞泉)
・祝儀(しゅうぎ)
意味:時期や機会など、人生や日常において節目節目に金品を贈ること。(出典:大辞林 第三版)
・心ばかり(こころばかり)
意味:少しの気持ちを示すだけのもの。(出典:大辞林 第三版)
寸志の意味②「わずかなさしさわりや不満。」
「寸志」の二つ目の意味は「わずかなさしさわりや不満。」です。
簡単に言うと、「難点」や「不服」といった意味になります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・随分逢引もあるといふのだから寸志はあるめえ。
(出典:為永春水『春色梅美婦禰 5』)
・どうだ、寸志はあるめえね。
(出典:総生寛『西洋道中膝栗毛』)
・好きであつた酒の為に度々そなたに迷惑を掛けたが、其の他の公人生活は御蔭げで寸志をのべる事が出来た。
(出典:大岡昇平『ながい旅』)
類語
・不服(ふふく)
意味:不満に思うこと。(出典:大辞林 第三版)
・難点(なんてん)
意味:避難すべき点。(出典:大辞林 第三版)
・不満(ふまん)
意味:満足しないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・不都合(ふつごう)
意味:都合の悪いこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)