手を下す
「自ら手を下す」などのように使う「手を下す」という言葉。
「手を下す」は、訓読みで「てをくだす」と読みます。
「手を下す」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「手を下す」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
手を下すの意味
「手を下す」には次の二つの意味があります。
1 直接自分で行なう。みずから事に当たる。
2 しはじめる。手をつける。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
手を下すの意味①「直接自分で行なう。みずから事に当たる。」
「手を下す」の一つ目の意味は「直接自分で行なう。みずから事に当たる。」です。
この意味では、「自分自身で行う」というのがポイントになっており、直接自分でその行為を行うことを指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あの傷の状態からして、自分で手を下したとはまったく考えられない。
(出典:クリスティ/中村妙子訳『牧師館殺人事件』)
・自身は殆どその自ら手を下したる事実を記憶せざるべきは当然と見るを得べし。
(出典:夢野久作『ドグラ・マグラ』)
・あんたは自分で何も手を下していないんだから堂々としていなさい。
(出典:吉村達也『出雲信仰殺人事件』)
・自分の手を下さず、目的に適した他者に命令して行動させる事じゃない。
(出典:奈須きのこ『歌月十夜-3 宵待閑話』)
類語
・躬行(きゅうこう)
意味:みずから実行すること。(出典:デジタル大辞泉)
・実践(じっせん)
意味:主義・理論などを実際に自分で行うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・挺する(ていする)
意味:みずから進んで差し出す。(出典:デジタル大辞泉)
・決行(けっこう)
意味:思い切って実行すること。(出典:デジタル大辞泉)
手を下すの意味②「しはじめる。手をつける。」
「手を下す」の二つ目の意味は「しはじめる。手をつける。」です。
この意味は、なにかに着手する、開始するという場合に使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・しかし、だれも手を下して、兄を介抱しようというものはいなかった。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル1] 横溝正史 「八つ墓村」』)
・彼としては、相手があまりに無防備なので、とっさに手を下しかねたのだ。
(出典:山田風太郎『銀河忍法帖』)
・彼が手を下すより先に、志津はアパートの自室で自殺してしまったのだ。
(出典:深谷忠記『房総・武蔵野殺人ライン』)
・敏夫の母親という線も考えたが、あいにく、誰かが先に手を下していた。
(出典:小野不由美『屍鬼(下)』)
類語
・履行(りこう)
意味:言ったこと、きめたことを実際に行なうこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・手を付ける(てをつける)
意味:着手する。(出典:デジタル大辞泉)
・取り掛かる(とりかかる)
意味:手をつける。(出典:デジタル大辞泉)
・蓋を開ける(ふたをあける)
意味:物事を始める。(出典:デジタル大辞泉)