糠に釘
「何を言っても糠に釘だ」などのように使う「糠に釘」という言葉。
「糠に釘」は、「ぬかにくぎ」と読みます。
「糠に釘」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「糠に釘」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
糠に釘の意味
「糠に釘」には次の意味があります。
・なんの手ごたえもなく、効き目のないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
力を入れて意見や忠告をしたり、強く抗議しても、まるで手ごたえがなく、効き目がないことを意味します。
「糠」はやわらかく、釘を打ち付けてもまったく手ごたえが無いことにたとえたことわざです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・たいていの場合、私の小言は糠に釘だったが、ときには相手の性格に応じて効果があった。
(出典:ヴィドック/三宅一郎訳『ヴィドック回想録』)
・いくら憎く思って見てもいわゆる糠に釘で何らの手ごたえもない。
(出典:伊藤左千夫『隣の嫁』)
・しょせん僕の意見など、ストリックランド相手では糠に釘だろうと思うと、妙にばつが悪くて言い出せなかった。
(出典:モーム/中野好夫訳『月と六ペンス』)
・性根を入れかえてやろうと思ったが、糠に釘だと諦めて「もう帰れ」と云って返してやった。
(出典:井伏鱒二『多甚古村』)
・しかし部長は不意に思案黙考に移って行き、こちらが何と云っても糠に釘である。
(出典:井伏鱒二『黒い雨』)
類語
・暖簾に腕押し(のれんにうでおし)
意味:少しも手ごたえや張り合いがないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・豆腐に鎹(とうふにかすがい)
意味:少しも手ごたえがなく、ききめがないたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・沼に杭(ぬまにくい)
意味:手ごたえがなく、ききめがないことのたとえにいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
意味:馬にありがたい念仏を聞かせても無駄である。いくら意見をしても全く効き目のないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・蛙の面へ水(かえるのつらへみず)
意味:どんな仕打ちにも少しも感じないこと。(出典:デジタル大辞泉)