隔てる
「分け隔てる」などのように使う「隔てる」という言葉。
「隔てる」は、訓読みで「へだてる」と読みます。
「隔てる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「隔てる」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
隔てるの意味
「隔てる」には次の三つの意味があります。
1物を間に置く。また、置いて遮る。仕切る。
2時間的に距離をおく。年月がたつ。
3関係をうとくする。壁をつくる。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
隔てるの意味①「物を間に置く。また、置いて遮る。仕切る。」
「隔てる」の一つ目の意味は「物を間に置く。また、置いて遮る。仕切る。」です。
物だけでなく空間などで遮ることも意味します。
「5メートル隔てて柱を立てる」などのように使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・修道院長は寝室と廊下を隔てる二つの扉が開かなかったのに突如としてイヴォンヌがそばに立っているのを見た。
(出典:竹下節子『パリのマリア』)
・草原が東の森と畑とのあいだを隔てるように広がっているのだ。
(出典:村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 2』)
・ずっと目の前にあった、夢と現実を隔てる透明な板がついに消えたのだと。
(出典:雪乃紗衣『彩雲国物語 外伝 1 朱にまじわれば紅』)
・わずか十間か二十間も隔てると、もうお互いの姿も見えない白毫の霏々紛々なのだ。
(出典:吉川英治『源頼朝』)
類語
・分離(ぶんり)
意味:分かれて離れること。また、分けて離すこと。(出典:デジタル大辞泉)
・距離(きょり)
意味: 二つの場所や物事の間の隔たり。(出典:デジタル大辞泉)
・隔離(かくり)
意味:へだたること。へだてはなすこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
隔てるの意味②「時間的に距離をおく。年月がたつ。」
「隔てる」の二つ目の意味は「時間的に距離をおく。年月がたつ。」です。
長い時間がたつことを意味することが多いです。
「時を隔てる」などのように使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・両者を隔てる年月がいかに短いかを知っている。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)
・この分では、存外容易に、君と僕らとを隔てる五、六年が、すぎ去ってしまうかもしれない。
(出典:芥川竜之介『出帆』)
類語
・移ろい(うつろい)
意味:移り変わること。(出典:デジタル大辞泉)
・越す(こす)
意味:ある時期・期間を過ごす。(出典:デジタル大辞泉)
・経る(へる)
意味:時日が過ぎる。時がたつ。(出典:デジタル大辞泉)
隔てるの意味③「関係をうとくする。壁をつくる。」
「隔てる」の三つ目の意味は「関係をうとくする。壁をつくる。」です。
気持ちが離れていき、関係を疎遠にしていくことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なぜなら、その二つがまた、彼と彼の恋人たる彼女とを隔てるものでもあったのである。
(出典:豊島与志雄『塩花』)
・自分を隔てる壁を壊すための武器を、手放すことなどできなかったのである。
(出典:藤咲淳一『攻殻機動隊 虚無回廊』)
・その二者を隔てるものは、もはやなにひとつとして残されていなかった。
(出典:滝本竜彦『NHKにようこそ!』)
類語
・離反(りはん)
意味:従っていたものなどが、そむきはなれること。(出典:デジタル大辞泉)
・避ける(さける)
意味:それとかかわることで不都合や不利益が生じると予測される人や事物から離れるようにする。また、そのような人や事物に近づかないようにする。(出典:デジタル大辞泉)
・敬遠(けいえん)
意味:かかわりを持つことを嫌ってその物事を避けること。(出典:デジタル大辞泉)