逃げ水
「逃げ水が見える」などのように使う「逃げ水」という言葉。
「逃げ水」は、訓読みで「にげみず」と読みます。
「逃げ水」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「逃げ水」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
逃げ水の意味
「逃げ水」には次の意味があります。
・大気の異常屈折現象の一つ。晴天の日に道路面などが異常な高温になると,それに接する空気が暖められ,地上 1mくらいの間に急激な温度差が起こり,このとき地面付近に動く不明瞭な倒立像がみられる。遠くから見ると道路に水たまりがあるように見えるが,近づいても水たまりはなく,さらに遠くに見え,あたかも水が逃げているように見えることからこの名が生じた。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
蜃気楼の一種で、熱くなったアスファルトの上などで水が逃げているように見える現象です。辿り着けないものを象徴することもあります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・まるで逃げ水を追いかけているように、それは歩いても歩いても近くならなかった。
(出典:小野不由美『十二国記 魔性の子』)
・強い陽差しがアスファルトに逃げ水を呼ぶ季節になった。
(出典:大藪春彦『戦いの肖像』)
・輪郭の内側は空っぽで、暑い日の逃げ水のようにゆらゆら揺れている。
(出典:縞田理理『霧の日にはラノンが視える1』)
・気がつくと、彼方に流れていた逃げ水は、消えていた。
(出典:柴田錬三郎『決闘者 宮本武蔵(下)』)
・いくら近付いて行っても、次々に遠くに逃げて行ってしまうので、まさに逃げ水以外の何ものでもない。
(出典:井上靖『私の西域紀行(上)』)
類語
・地鏡(ちかがみ)
意味:アスファルトなどで覆われた地面が強く加熱された場合にみられる蜃気楼(しんきろう)の一種。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・蜃気楼(しんきろう)
意味:光の異常屈折現象の一つで、像の位置がずれたり、倒立したり、実在しない像が現れたりする現象の総称。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
・幻(まぼろし)
意味:実際にはないのに、あるように見えるもの。(出典:デジタル大辞泉)
・海市(かいし)
意味:蜃気楼(しんきろう)の異称。(出典:デジタル大辞泉)
・浮き島(うきしま)
意味:海岸から沖の島を見た時に、島が浮かび上がっているように見える光学的現象。(出典:大辞林 第三版)