詰む
「もう無理、詰んだ」などのように使う「詰む」という言葉。
「詰む」は、訓読みで「つむ」と読みます。
「詰む」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「詰む」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
詰むの意味
「詰む」には次の三つの意味があります。
1 布地などの目が密になる。
2 将棋で、王将が囲まれて逃げ場がなくなる。
3 行きづまる。窮する。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
詰むの意味①「布地などの目が密になる。」
「詰む」の一つ目の意味は「布地などの目が密になる。」です。
隙間が無いほど密な様子を表しています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この小さい穴倉の中にあれだけの物が詰まつてたとすれば、まさに整頓の驚異だ!
(出典:野上豊一郎『大戦脱出記』)
・喉になにか詰ま らせたような声だった。
(出典:冴木忍『カイルロッドの苦難 7 微笑みはかろやかに』)
・ゴミ集積場に詰まれた半透明の袋の中にガスマスクの恨めしそうな顔が透けて見えていた。
(出典:秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その4』)
類語
・ぎっしり
意味:すきまなく詰まっているさま。(出典:デジタル大辞泉)
・密(みつ)
意味:すきまがないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・充塞(じゅうそく)
意味:満ちふさがること。(出典:デジタル大辞泉)
詰むの意味②「将棋で、王将が囲まれて逃げ場がなくなる。」
「詰む」の二つ目の意味は「将棋で、王将が囲まれて逃げ場がなくなる。」です。
何を指しても、負けてしまう状態に陥ることです。チェス等のボードゲームでも使われることがあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そのとき、桂を渡しても自分の玉は詰まない、と読み切ったところが強い。
(出典:河口俊彦『人生の棋譜 この一局』)
・このキングを詰まないことには本丸のセカンド・チェックメイトはない。
(出典:池上永一『テンペスト2 花風の巻』)
・詰まさないまでも、一本8五歩を打っておき、9七玉に4三金でもよかった。
(出典:河口俊彦『人生の棋譜 この一局』)
類語
・四面楚歌(しめんそか)
意味:まわりが敵や反対者ばかりで、味方のないこと。(出典:大辞林 第三版)
・塞く(せく)
意味:流れなどをさえぎってとめる。せきとめる。(出典:デジタル大辞泉)
・絶体絶命(ぜったいぜつめい)
意味:どうにも逃れようのない、差し迫った状態や立場にあること。(出典:デジタル大辞泉)
詰むの意味③「行きづまる。窮する。」
「詰む」の三つ目の意味は「行きづまる。窮する。」です。
物事がうまく行かなくなって、どうしようもない状態を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・これは完全に詰まされている。
(出典:西尾維新『傾物語』)
・若杉さんは、全身を押し詰まされるような名状しがたい不快な圧迫を感じていました。
(出典:菊池寛『若杉裁判長』)
・総てのものが行き詰まつて新機軸を出すに骨が折れることであらう。
(出典:出口王仁三郎『三鏡 『水鏡』『月鏡』『玉鏡』 kgm 3 20070907』)
類語
・立ち往生(たちおうじょう)
意味:立ったまま死ぬこと。「往生」は死ぬことを意味する。ここから、途中で前にも後にも動けなくなることを意味するようになった。(出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」)
・滞る(とどこおる)
意味:物事が順調に運ばない。(出典:デジタル大辞泉)
・膠着(こうちゃく)
意味:ある状態が固定して、ほとんど動きがなくなること。(出典:デジタル大辞泉)