色褪せる
「絵画が色褪せる」などのように使う「色褪せる」という言葉。
「色褪せる」は、訓読みで「いろあせる」と読みます。
「色褪せる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「色褪せる」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
色褪せるの意味
「色褪せる」には次の二つの意味があります。
1 色がさめる。色が薄くなる。
2 美しさやみずみずしさなどがなくなる。新鮮みがなくなる。衰える。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
色褪せるの意味①「色がさめる。色が薄くなる。」
「色褪せる」の一つ目の意味は「色がさめる。色が薄くなる。」です。
例えば、冒頭で紹介した「絵画が色褪せる」は「絵画の色が薄くなる」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・全体にかなり色褪せた、それだけで古いものだと分るカラー写真である。
(出典:綾辻行人『暗黒館の殺人(上)改訂6-2-8』)
・色褪せた更紗の着物をきた女中たちがあちこち駆けずりまわっている。
(出典:ツルゲーネフ/佐々木彰訳『猟人日記(上)』)
・神前の鈴をふる布ぎれが一本、色褪せて静かにたれているだけであった。
(出典:三浦哲郎『忍ぶ川 他』)
・蒼白い、不幸な男の臀が持ち上り、あちこち色褪せた血痕をつけていた。
(出典:アポリネール/須賀慣訳『一万一千本の鞭』)
・その煙の雲の中に、赤銅色の太陽が、色褪せた円盤のようにかかっていた。
(出典:光瀬龍『紐育、宜候-SF〈太平洋戦争〉』)
色褪せるの意味②「美しさやみずみずしさなどがなくなる。新鮮みがなくなる。衰える。」
「色褪せる」の二つ目の意味は「美しさやみずみずしさなどがなくなる。新鮮みがなくなる。衰える。」です。
この場合の「色褪せる」は、記憶や感情などを色に見立てて「記憶や感情などが薄くなる」という意味を持ちます。例えば、「感動が色褪せる」で「感動が薄くなる」という意味になります。また、「色褪せた街」で「衰退した街」となります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ニューヨーク再開発は公に発表されることなく青写真のまま色褪せた。
(出典:池上永一『シャングリ・ラ 下』)
・有能そうだと思った松井刑事の第一印象は、急速に色褪せ失墜していた。
(出典:貴志祐介『黒い家』)
・自分を取り巻くすべての現実が色褪せて見えるほどの強烈な光輝を感じた。
(出典:篠田節子『カノン』)
・十四年たっているのに、信じられないほど色褪せていなかった。
(出典:新津きよみ『婚約者』)
・さっきの出来事が色褪せた遠い過去にすら思えてしまう。
(出典:池上永一『テンペスト2 花風の巻』)