空虚
「空虚な世界」などのように使う「空虚」という言葉。
「空虚」は、音読みで「くうきょ」と読みます。
「空虚」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「空虚」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
空虚の意味
「空虚」には次の二つの意味があります。
1 内部に何もないこと。また、そのさま。から。
2 実質的な内容や価値がないこと。むなしいこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
空虚の意味①「内部に何もないこと。また、そのさま。から。」
「空虚」の一つ目の意味は「内部に何もないこと。また、そのさま。から。」です。
中がカラであることを指します。
「空虚」は、比喩的に二つ目の意味で使うことも多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・客のすっかり出きってしまった空虚の船の中は洞穴のようにがらんとしていた。
(出典:横光利一『旅愁』)
・車は既に大きい。 そしてそれが空虚であるが故に、人をして一層その大きさを覚えしむる。
(出典:松本清張『過ぎゆく日暦』)
・そして自分の周囲に広い黒い空虚のあるのを見てほっと溜息を衝いた。
(出典:リルケ・ライネル・マリア『白』)
・テラスが急に空虚になってから矢代はひとりコーヒーを飲んでいた。
(出典:横光利一『旅愁』)
類語
・空洞(くうどう)
意味:内部がうつろになっていること。また、その部分。(出典:デジタル大辞泉)
・空白(くうはく)
意味:紙面などの何も書いてない所。(出典:大辞林 第三版)
・無人(むじん)
意味:人がいないこと。(出典:大辞林 第三版)
・がらんどう
意味:中に何もなくて広々していること。(出典:デジタル大辞泉)
空虚の意味②「実質的な内容や価値がないこと。むなしいこと。また、そのさま。」
「空虚」の二つ目の意味は「実質的な内容や価値がないこと。むなしいこと。また、そのさま。」です。
物理的な物の中身ではなく、ものごとの内容や価値がなく、むなしいことを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そのような哀れな空虚な青年時代しかこれらの人々は持たなかったのでしょうか。
(出典:宮本百合子『獄中への手紙』)
・空腹感とはくらべものにならない空虚さだったが、それに近い気持だった。
(出典:マッカラーズ/河野一郎訳『心は孤独な狩人』)
・それは意味深い言葉のようでもあり、また空虚な言葉のようでもあった。
(出典:和辻哲郎『古寺巡礼』)
・そして他人には空虚に見える時が、いちばん彼女の生命の充実している時だった。
(出典:吉川英治『宮本武蔵』)
類語
・空洞(くうどう)
意味:形式だけで内容のないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・空白(くうはく)
意味:実質的な内容のないこと。(出典:大辞林 第三版)
・空疎(くうそ)
意味:見せかけだけでしっかりした内容や実質がないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・希薄(きはく)
意味:ある要素の乏しいこと。(出典:デジタル大辞泉)