疲弊
「かなり疲弊している」などのように使う「疲弊」という言葉。
「疲弊」は、音読みで「ひへい」と読みます。
「疲弊」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「疲弊」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
疲弊の意味
「疲弊」には次の二つの意味があります。
1 心身が疲れて弱ること。
2 経済状態などが悪化して活力をなくしてしまうこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
疲弊の意味①「心身が疲れて弱ること。」
「疲弊」の一つ目の意味は「心身が疲れて弱ること。」です。
こちらの意味は、人や生き物に対して用いられることが多く、疲労が蓄積して、心や体がすり減ったような状態を表しています。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・けれど高度医療の現場は、人の心を疲弊させもするし、掻き乱しもする。
(出典:海月ルイ『子盗り』)
・時計が十時をまわった頃、自分がひどく疲弊していることに牛河は気づいた。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK3』)
・しかし彼女の演奏に疲弊したイメージが混じったのはそのときだけではなかった。
(出典:乙一『さみしさの周波数』)
・大仰に言えば立っているのが不思議なくらい、全員が疲弊しきっているのだ。
(出典:茅田砂胡『デルフィニア戦記 第06巻 「獅子の胎動」』)
類語
・消耗(しょうもう)
意味:体力や気力を使い果たすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・疲労困憊(ひろうこんぱい)
意味:疲れ果ててくたくたになること。(出典:四字熟語を知る辞典)
・意気消沈(いきしょうちん)
意味:意気込みがすっかり衰えること。(出典:デジタル大辞泉)
・病む(やむ)
意味:心をなやます。心配する。(出典:デジタル大辞泉)
疲弊の意味②「経済状態などが悪化して活力をなくしてしまうこと。」
「疲弊」の二つ目の意味は「経済状態などが悪化して活力をなくしてしまうこと。」です。
こちらの意味は、主に国力や経済状態が困窮している様子を表しています。
国、企業などの大きな組織に対して、よく用いられます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・書を読めば、戦乱で疲弊した国がどのようにして滅ぶか詳細に書かれている。
(出典:冲方丁『光圀伝』)
・露国との戦争が済んでから間もない頃で、日本の農村は一般に疲弊していた。
(出典:佐左木俊郎『熊の出る開墾地』)
・改革の旗を高くかかげて、疲弊のどん底にあった藩を再生しようとしたのである。
(出典:藤沢周平『漆(うるし)の実のみのる国(下)』)
・この廟の建築のため国庫が疲弊し、ムガール帝国は傾いたと伝えられる。
(出典:開高健『珠玉』)
類語
・貧乏(びんぼう)
意味:財産や収入が少なくて生活が苦しいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・苦境(くきょう)
意味:苦しい立場。苦しい境遇。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・逼迫(ひっぱく)
意味:さしせまること。また、困窮すること。経済的な面で余裕のない状態になること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・没落(ぼつらく)
意味:勢いを失うこと。落ちぶれること。また、破産すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)