泣き面に蜂
「財布を落として悪用されたなんて、泣き面に蜂だ」などのように使う「泣き面に蜂」という言葉。
「泣き面に蜂」は、「なきつらにはち」と読みます。
「泣き面に蜂」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「泣き面に蜂」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
泣き面に蜂の意味
「泣き面に蜂」には次の意味があります。
・泣いている顔をさらに蜂が刺す。不運や不幸が重なることのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
分かりやすく言うと、一度不運があった後に、さらに不運があったことを指します。
「弱り目に祟り目」、「一難去ってまた一難」などの類語があります。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・それに泣き面に蜂とでも申しましょうか、歯までが痛みだしましてね。
(出典:トルストイ/木村浩訳『アンナ・カレーニナ』)
・泣き面に蜂ならぬ恥、ポンと大きな音がして二人とも全く同じ白い長い顎髭が生えてきた。
(出典:ローリング『ハリー・ポッターシリーズ 4 ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上)』)
・それはまだよかったが、泣き面に蜂、つづいておそるべき第二の大難が起ってきた。
(出典:吉川英治『神州天馬侠』)
・この時期にアメリカにとって、「泣き面に蜂」のようなアクシデントが発生した。
(出典:森村誠一『ミッドウェイ』)
・サクラメントからメトフォードへと、私達はそのサーカスの尻を追っていたようで、泣き面に蜂とはこのことでしょう。
(出典:泡坂妻夫『喜劇悲奇劇』)
・こうして、私は失望落胆、寝床へもぐりこんだが、泣き面に蜂とはこのこと、ようやく二か月まえになおったばかりのあの病気のあさましい徴候がまたもはっきりあらわれてきた。
(出典:カザノヴァ/田辺貞之助訳『カザノヴァ回想録 第一巻』)
・まったく油断もスキもない世の中で、熊谷久摩吉氏、泣き面に蜂とばかりに、天を仰いで長大息したということだが、それはこの物語にとっては余談であろう。
(出典:横溝正史『びっくり箱殺人事件』)
・ピンカートンの『海陸紀行全集』一に収めたマーチンの『蘇格蘭西島記』に、ロナ島へどこからとも知れず鼠群れ来って島中の穀を食い尽した上、泣き面に蜂とか、水夫が上陸してただ一疋あった牛を掠め去ったから、全く食物なくなったのに一年間糧船来らず、全島の民が死に尽した。
(出典:南方熊楠『十二支考』)