江戸前
「江戸前寿司」などのように使う「江戸前」という言葉。
「江戸前」は、訓読みで「えどまえ」と読みます。
「江戸前」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「江戸前」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
江戸前の意味
「江戸前」には次の意味があります。
・〈江戸の前面の海〉の意で,そこで捕れる新鮮な魚をいった。転じて生きのいい江戸風の事物一般をもさすようになり,とりわけ浅草川や深川などで捕れるウナギに〈江戸前〉の名をあてていた。やがて握りずしが人気を得るにつれて,生きのいい魚を使った握りずしを〈江戸前〉と称するようになった。(出典:百科事典マイペディア)
元々は江戸の前海を指していました。転じて、そこで捕れる魚、その魚で作る寿司を指すようになりましたが、さらに転じて、人の性質や食べ物の風味が江戸風であることも、江戸前と言うようになっています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・結局、いま江戸前というのは、江戸風、東京風の料理ということですね。
(出典:池波正太郎/佐藤隆介編『鬼平料理帳』)
・古風な江戸前の役者として最後の一人が去ったという印象だった。
(出典:永六輔『タレントその世界』)
・生姜の味付けに甘酢に浸す家もあるが、江戸前としての苦労が足りない。
(出典:北大路魯山人『握り寿司の名人』)
・江戸前の海が荒れてでもいるかと思えるような風の強い日には、殊に群れの数が多い。
(出典:佐藤垢石『みやこ鳥』)
・石倉三郎さんがいかにも江戸前の気っ風のよさで演じて下さっている。
(出典:内館牧子『愛してると言わせて』)
類語
・江戸前鮨(えどまえずし)
意味:江戸前(江戸湾でとれた魚介)を用いたすし。また江戸風のすし。文政年間(1818~1830)に江戸で考案されたとされる握りずしをいうこともある。(出典:和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典)
・大阪鮨(おおさかずし)
意味:甘みの利いた味の濃いすしめしで作った、箱ずし、巻きずしなどの総称。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・江戸前あなご(えどまえあなご)
意味:関東地方、東京都の地域ブランド。あなごは北海道以南の日本各地に生息し、東京湾では餌を入れた筒を使った漁で漁獲される。旬は晩春から夏。東京湾の羽田沖を中心として漁獲されているものが江戸前あなごと呼ばれ、色・味ともによいことから天ぷら・白焼きなどの材料として高級料理店などで使われている。(出典:事典 日本の地域ブランド・名産品)
・東京湾(とうきょうわん)
意味:関東地方南部の海域。房総・三浦の両半島に囲まれ、浦賀水道で太平洋に連なる。狭義には三浦半島東端の観音崎と房総半島の富津岬とを結ぶ線以北をいい、広義には浦賀水道を含み、房総半島南西端の洲崎(すのさき)と三浦半島の剣崎(つるぎさき)とを結ぶ線以北をいう。多摩川、隅田川、江戸川などが流入し、沿岸には京浜・京葉の臨海工業地帯が発達。横浜、川崎、東京、千葉、木更津、横須賀などの港がある。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・江戸っ子(えどっこ)
意味:江戸居住者ないし江戸市民は江戸者と称し、そのなかでも生え抜きの江戸者、生粋(きっすい)の江戸市民を江戸っ子といった。江戸っ子は父母ともに3代続きの市民であることが必要条件とされた。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))