有耶無耶
「有耶無耶な態度」などのように使う「有耶無耶」という言葉。
「有耶無耶」は、音読みで「うやむや」と読みます。
「有耶無耶」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「有耶無耶」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
有耶無耶の意味
「有耶無耶」には次の二つの意味があります。
1 物事がどうなのかはっきりしないこと。また、そのさま。あいまいなさま。
2 思いわずらって胸がすっきりしないこと。またそのさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
有耶無耶の意味①「物事がどうなのかはっきりしないこと。また、そのさま。あいまいなさま。」
「有耶無耶」の一つ目の意味は「物事がどうなのかはっきりしないこと。また、そのさま。あいまいなさま。」です。
「有り」と「無し」、それに疑問の助詞である「耶」を用いて「有りなのか無しなのか、どちらなのか」という意味合いになります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そう言えばこの騒動で、化粧その他の問題が全くうやむやのままである。
(出典:伊都工平『天槍の下のバシレイス1 まれびとの棺 〈上〉』)
・卒業試験もうやむやで終つて 二十六日が卒業式といふ事になりました。
(出典:伊藤野枝『書簡 木村荘太宛』)
・この事件はいつの間にかうやむやになり綾子は別に何の科もうけなかった。
(出典:青島幸男『極楽トンボ』)
・それでも敗戦の色濃くなると、そういう規制もうやむやになったらしい。
(出典:色川武大『なつかしい芸人たち』)
類語
・あやふや(あやふや)
意味:物事がはっきりしないさま。あてにならないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・曖昧(あいまい)
意味:態度や物事がはっきりしないこと。また、そのさま。あやふや。(出典:デジタル大辞泉)
・不確実(ふかくじつ)
意味:確かではないさま。(出典:デジタル大辞泉)
・朧げ(おぼろげ)
意味:はっきりしないさま。不確かなさま。(出典:デジタル大辞泉)
有耶無耶の意味②「思いわずらって胸がすっきりしないこと。またそのさま。」
「有耶無耶」の二つ目の意味は「思いわずらって胸がすっきりしないこと。またそのさま。」です。
もやもやとしてスッキリしない胸中を意味します。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そして僕らには、とてもうやむやに希望が融けてしまったものだった。
(出典:大江健三郎『死者の奢り・飼育』)
・この前はどれが疏勒河か見当がつかず、うやむやにたくさんの河を渡った記憶を持っている。
(出典:井上靖『私の西域紀行(下)』)
・「それなら裸を出すしかありません」と答えると、それに対してはうやむや。
(出典:星新一『なりそこない王子』)
・やがては彼女の視線がまとわりつくのも嫌になり、避けてばかりいたら、うやむやのうちに消滅してしまった。
(出典:恩田陸『夜のピクニック』)
類語
・ぼやかす(ぼやかす)
意味:あいまいにする。ぼんやりさせる。ぼかす。(出典:デジタル大辞泉)
・何方付かず(どっちつかず)
意味:いずれとも定まらずに、中途半端なこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・不得要領(ふとくようりょう)
意味:要領を得ないこと。あいまいでわけのわからないこと。(出典:四字熟語を知る辞典)
・空漠(くうばく)
意味:実質や中心がなく、漠然としていること。つかみどころがないこと。とりとめがないこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)