揺蕩う
「煙が揺蕩う」などのように使う「揺蕩う」という言葉。
「揺蕩う」は、訓読みで「たゆたう」と読みます。
「揺蕩う」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「揺蕩う」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
揺蕩うの意味
「揺蕩う」には次の意味があります。
・ゆらゆらと揺れ動いて定まらない。(出典:デジタル大辞泉)
ゆらゆら揺れる様子を指すことから転じて、気持ちが定まらずためらう、心を決めかねるといった意味にもなります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・まだ微かに揺蕩う残り香のなかに、それはひとつの罰のような気がした。
(出典:竹本健治『匣の中の失楽』)
・目の前に広がる海のように、ここでは時間も凪のごとく揺蕩うばかりである。
(出典:野村進『アジア新しい物語』)
・揺蕩うていたオリヴィエの意識は、突然、ノックの音によって中断された。
(出典:山藍紫姫子『THE DARK BLUE』)
・一瞬根戸は、いつも杏子のつけているサフランの香水の揺蕩うような香りさえ嗅いだような気がした。
(出典:竹本健治『匣の中の失楽』)
・乏しい房咲きながら濃い紅は花綵のように垂れ、長い揺蕩うような夕暮、それは羽虫たちの宴のために点された灯りのように眺められた。
(出典:中井英夫『真珠母の匣』)
類語
・漂流(ひょうりゅう)
意味:流れさすらうこと。あてどもなく、自然の力に流されること。ひょうる。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・浮遊(ふゆう)
意味:浮いてゆれ動く。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・躊躇(ちゅうちょ)
意味:あれこれ迷って決心できないこと。ためらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・猶予う(いざよう)
意味:進もうとしてもなかなか進めない。躊躇する。ためらう。(出典:デジタル大辞泉)
・翻る(ひるがえる)
意味:風になびいて揺れ動く。ひらめく。(出典:デジタル大辞泉)