惨憺
「惨憺たる結果」などのように使う「惨憺」という言葉。
「惨憺」は、音読みで「さんたん」と読みます。
「惨憺」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「惨憺」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
惨憺の意味
「惨憺」には次の二つの意味があります。
1 いたましくて見るに忍びないさま。見るも無残なさま。
2 心をくだき思い悩むさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
惨憺の意味①「いたましくて見るに忍びないさま。見るも無残なさま。」
「惨憺」の一つ目の意味は「いたましくて見るに忍びないさま。見るも無残なさま。」です。
わかりやすく言えば「目を背けたくなるほど悲惨な様子」という意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その計画もまた、すでに周知のごとく惨憺たる失敗に終わったのだが。
(出典:光瀬龍『墓碑銘二〇〇七年』)
・部屋の中は惨憺たる有様で、食器や雑誌などが床の上に散乱していた。
(出典:芥川竜之介『鷺と鴛鴦』)
・それからの私の生活は、お話にも何もならない、惨憺たるものでした。
(出典:大倉燁子『鉄の処女』)
・みな惨憺たる格好をしているが、重大な負傷をした者はいない。
(出典:森村誠一『恐怖の骨格』)
類語
・陰惨(いんさん)
意味:暗くむごたらしい感じ。(出典:デジタル大辞泉)
・悲惨(ひさん)
意味:見聞きに耐えられないほどいたましいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・凄惨(せいさん)
意味:目をそむけたくなるほどいたましいこと。ひどくむごたらしいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・酸鼻(さんび)
意味:いたましくむごたらしいこと。(出典:大辞林 第三版)
惨憺の意味②「心をくだき思い悩むさま。」
「惨憺」の二つ目の意味は「心をくだき思い悩むさま。」です。
この意味では主に「苦心惨憺」と使われます。
「苦心惨憺」は、「非常に苦心して試行錯誤すること」という意味の四字熟語です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あたしたちが苦心惨憺して作った平面図が綺麗きれいな図面になって出てきた。
(出典:小野不由美『悪霊シリーズ 5 悪霊になりたくない!』)
・舞もそこに属するが、今は苦心惨憺して食材を調達することにしている。
(出典:榊涼介『ガンパレード・マーチ 05 5121小隊 episode ONE』)
・そこまで持って行くにはだいぶ苦心惨憺たるものがあったのだろう。
(出典:夏目漱石『吾輩は猫である』)
・その喜びがあるからこそ、何日も何か月も何年も苦心惨憺するわけです。
(出典:小川洋子・藤原正彦『世にも美しい数学入門』)
類語
・苦悩(くのう)
意味:あれこれと苦しみ、悩むこと。(出典:デジタル大辞泉)
・腐心(ふしん)
意味:ある事を成し遂げようと心をくだくこと。(出典:デジタル大辞泉)
・呻吟(しんぎん)
意味:特に創作の上で、よいものを作ろうと苦労すること。(出典:大辞林 第三版)
・悪戦苦闘(あくせんくとう)
意味:困難な状況の中で、苦しみながら努力すること。(出典:デジタル大辞泉)