子細
「子細に及ばず」などのように使う「子細」という言葉。
「子細」は、音読みで「しさい」と読みます。
「子細」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「子細」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
子細の意味
「子細」には次の三つの意味があります。
1 詳しい事情。
2 特別の理由。
3 差し支えとなる事柄。(出典:日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
子細の意味①「詳しい事情。」
「子細」の一つ目の意味は「詳しい事情。」です。
副詞的に用いて、「事細かであるさま」を意味する用法もあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・これを子細に検討すれば、あの家に関する謎もきっと解けるに違いない。(出典:高橋克彦『緋い記憶』)
・彼は聞こえるようにわびを言っていたが、その子細を説明はしなかった。(出典:ドストエフスキー/中山省三郎訳『白痴(下)』)
・まず彼は第一次大戦以降の株の動きを子細に調べさせ、その表を作った。(出典:豊田穣『飛行機王・中島知久平』)
類語
・委細(いさい)
意味:細かに、くわしいこと。こまごまとした、くわしい事情。(出典:日本国語大辞典)
・詳細(しょうさい)
意味:くわしくこまかなこと。(出典:日本国語大辞典)
・ディテール
意味:ある事柄に付随する、個々の具体的で細かな事実。(出典:日本国語大辞典)
子細の意味②「特別の理由。」
「子細」の二つ目の意味は「特別の理由。」です。
言い換えれば「込み入った事情」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それに一度も拙僧にものを訊ねないというのには、何か子細があろう。(出典:下村湖人『青年の思索のために』)
・その黒が今夜の客にむかって激しく吠えかかるのは何か子細があるかも知れない。(出典:岡本綺堂『木曽の旅人』)
・何かの子細があって栄之丞が自分を欺すのではないかと一旦は疑った。(出典:岡本綺堂『籠釣瓶』)
類語
・理由(りゆう)
意味:物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠。(出典:デジタル大辞泉)
・文句(もんく)
意味:文章中の語句。文言。(出典:デジタル大辞泉)
・謂れ(いわれ)
意味:物事が起こったわけ。(出典:デジタル大辞泉)
子細の意味③「差し支えとなる事柄。」
「子細」の三つ目の意味は「差し支えとなる事柄。」です。
わかりやすく言えば「何らかの問題があること」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・しかしこれには異説があって、これはそれほど歴史的な子細があるわけではない。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル3] 横溝正史 「獄門島」』)
・その笑い顔をながめながら、山岸はやはり子細ありそうに溜息をつきました。
(出典:岡本綺堂『白髪鬼』)
・たとい世間晴れて藤枝家の奥様と呼ばれずとも、妾ならば子細はない。
(出典:岡本綺堂『箕輪心中』)
類語
・差し支え(さしつかえ)
意味:都合の悪い事情。支障。(出典:デジタル大辞泉)
・問題(もんだい)
意味:困った事柄。厄介な事件。(出典:デジタル大辞泉)
・後ろめたい(うしろめたい)
意味:自分に悪い点があって、気がとがめる。やましい。(出典:デジタル大辞泉)
・異議(いぎ)
意味:一つの意見に対して、反対または不服であるという意見。(出典:デジタル大辞泉)