卑近
「卑近な例」などのように使う「卑近」という言葉。
「卑近」は、音読みで「ひきん」と読みます。
「卑近」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「卑近」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
卑近の意味
「卑近」には次の意味があります。
・手近でたやすいこと。身近でありふれていること。高遠ではなくわかりやすいこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「卑近」は、「身近」というニュアンスが含まれた上で、「分かりやすい」「ありふれている」という意味を表します。つまり、「卑近な例」と言う場合、「身近で分かりやすい例」と言い換えることができます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・卑近な例をとってここに一人熱を出してねている人があるとする。
(出典:宮本百合子『こわれた鏡』)
・といって卑近な材料ばかり並べては絵島先生をうならせることはできない。
(出典:和田はつ子『薬師』)
・それは単に得になるというような卑近な意味ではなく、学問の上からいってもいいことである。
(出典:中谷宇吉郎『アラスカ通信』)
・そうして得た洞察の成果を最も卑近な最もわかりやすい方法によって表現したように思われる。
(出典:寺田寅彦『からすうりの花と蛾』)
・ただし、私が考えているものは、もう少し卑近なもの、あるいは形のあるものである。
(出典:養老孟司『ヒトの見方』)
類語
・身近(みぢか)
意味:日常にありふれていること。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・有り触れる(ありふれる)
意味:どこにでもある。ざらにある。普通であって珍しくない。(出典:デジタル大辞泉)
・俗(ぞく)
意味:民間で普通に行われること。ありふれていること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・凡近(ぼんきん)
意味:平凡で身近なこと。平凡で卑近なこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・手近(てぢか)
意味:身近であって、わかりやすいこと。身近なこととして、人々によく知られていること。簡単で便利なこと。また、そのさま。卑近。(出典:精選版 日本国語大辞典)