内輪
「内輪の話」などのように使う「内輪」という言葉。
「内輪」は、訓読みで「うちわ」と読みます。
音読みで「ないりん」とも読みますが、「ないりん」は「円形のものの内側」という意味しか持ちません。
この記事では「内輪(うちわ)」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
内輪の意味
「内輪(うちわ)」には次の四つの意味があります。
1 家族、仲間など密接な間柄の者どうし。
2 他人に示さない内部の事情。
3 控えめなこと。さしでがましくないさま。
4 つま先を内側に向けるさま。また、その足(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
内輪の意味①「家族、仲間など密接な間柄の者どうし」
「内輪」の一つ目の意味は「家族、仲間など密接な間柄の者どうし」です。
人間関係が近しいことや親しいことを表します。
「身内」や「仲間内」などのことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・客の前ではともかく、内輪で先生などと呼ぶことがあるのはそのせいだ。
(出典:村山由佳『星々の舟』)
・何せ急なので内輪の者二十数人が出席しただけのささやかな挙式である。
(出典:足立倫行『妖怪と歩く ドキュメント・水木しげる』)
類語
・身内(みうち)
意味:ごく親しい血縁関係にある人。家族。親類。同じ親分に属する子分。また、同じ組織に属する者。(出典:デジタル大辞泉)
・仲間内(なかまうち)
意味:仲間のあいだ。仲間の者どうし。(出典:デジタル大辞泉)
内輪の意味②「他人に示さない内部の事情」
「内輪」の二つ目の意味は「他人に示さない内部の事情」です。
「内輪の事情」などの場合はこの意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・内輪の苦労が表面に重々しげにぶらさがっている美や芸はないのである。
(出典:坂口安吾『風流』)
・かういふやうな内輪話はこの際、国民はちつとも聞きたくないのである。
(出典:岸田国士『一国民としての希望』)
類語
・内幕(うちまく)
意味:外からは見えない内輪の事情。(出典:デジタル大辞泉)
・内情(ないじょう)
意味:内部の事情。内部の状況。(出典:デジタル大辞泉)
内輪の意味③「控えめなこと。さしでがましくないさま」
「内輪」の三つ目の意味は「控えめなこと。さしでがましくないさま」です。
物事を実際よりも内側にしておくということから内輪と表現します。
特に数量や金額を控えめにする場合に用いられます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・分相応よりも少し内輪なくらいに始めるのがいいのだと私は信じている。
(出典:高村光太郎『開墾』)
・おまえさんが損ばかりしているから、ものを内輪内輪に食べてるからね。このごろはほんとうに胃が丈夫になっちゃった。
(出典:麻生芳伸編『落語百選 冬』)
類語
・内端(うちば)
意味:動作・言動が遠慮深く控えめであること。また、そのさま。内気。数量・金額を実際より少なく数えること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
内輪の意味④「つま先を内側に向けるさま」
「内輪」の四つ目の意味は「つま先を内側に向けるさま」です。
女性が座っているときや、小さな子供が小幅にちょこちょこと歩いているときのような状態を表します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・六代目はこういうことは器用でしたから、実に鮮やかなものでしたね。また前へ出した右足の膝をちょっと内輪にするのも定九郎のコツです。
(出典:尾上松緑『松緑芸話』)
・電車の中で大変可愛いおじいさんを見た。女のように内輪に足を並べて、そのまんなかにかさを一寸はさんで居る。
(出典:宮本百合子『日記』)
類語
・内股(うちまた)
意味:つま先を内側に向けて歩く歩き方。(出典:デジタル大辞泉)
・X脚(えっくすきゃく)
意味:両下肢をそろえてひざを合わせた際に左右の足関節部(くるぶしの部分)が離れ,全体としてX字形をとるひざの変形をいう。(出典:世界大百科事典 第2版)
・底屈(ていくつ)
意味:足首の関節を足の裏の方向に折り曲げること。(出典:デジタル大辞泉)