黄昏
「黄昏」は「こうこん」と読み、「たそがれ」とも読ませます。
「たそがれ」の方がより身近な読み方ではないでしょうか。
「人生のたそがれ」や「たそがれる」などと使うときも。
この記事では「黄昏」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
黄昏の意味
黄昏には二つの意味があります。
1 夕方の薄暗い時。夕暮れ。
2 盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
黄昏の意味① 「夕方の薄暗い時。夕暮れ」
黄昏の一つ目の意味は「夕方の薄暗い時。夕暮れ」です。
古くは「たそかれ」といい、「誰(た)そ彼(かれ)」と、人の顔が誰なのか見分けがつかなくなるような夕暮れ時のことを表しました。「彼(か)は誰(たれ)」で「かわたれどき」ともいいました。
使い方・例文
・陽は明るいのになぜか獣たちは黄昏のなかを迷い歩いているように見えた。
(出典:開高健『青い月曜日』)
・凡てがやがて静になったと思う頃、黄昏の空からまた雨が落ちて来た。健三は買おう買おうと思いながら、ついまだ買わずにいるオヴァーシューの事を思い出した。
(出典:夏目漱石『道草』)
・黄昏に女や子供の家の外に出ている者はよく神隠しにあうことは他の国々と同じ。
(出典:小松和彦『神隠しと日本人』)
黄昏の意味② 「盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ」
黄昏の二つ目の意味は「盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ」です。
①の意味から、人間の一生を一日の時間帯に重ねて、「人生の黄昏」などと使いますが、ストレートに「老い」を表すのではなく、寂しさ・もの悲しさを添えてくれる表現です。
使い方・例文
・その床の上に七十年の生涯を思い出して、自己の黄昏時をながめているような人である。ちょうど半蔵が二階に上がって来て見た時は、父は眠っていた。
(出典:島崎藤村『夜明け前』)
・まるで黄昏を迎えた北欧の神々が戦っているかのように神話的な情景だった。
(出典:牧野修『アロマパラノイド 偏執の芳香』)
・だがこれは王国の黄昏を予見する悲劇の一日の始まりであった。
(出典:池上永一『テンペスト2 花風の巻』)