えんがちょ
「えんがちょする」などのように使う「えんがちょ」という言葉。
「えんがちょ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「えんがちょ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
えんがちょの意味
「えんがちょ」には次の意味があります。
・東京地方で、不浄なものに触れた人を、子供がはやしたてる言葉。(出典:デジタル大辞泉)
汚いものに触ってしまったときなどに、その汚いもの、もしくは触ってしまった人と「縁を切る」という意味の、子供が使う言葉です。
仲間外れにする、という意味にも使われます。
近年ではイジメに繋がるとしてあまり使われなくなりましたが、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』で、主人公の千尋が素足で黒い芋虫を踏んでしまったときに、釜爺が「えーんがちょせい!えーんがちょ!」と言ったことで、再び若い世代にも知られることとなりました。
この言葉を言うときは多くの場合、動作を一緒に伴います。
汚いものを触った人が両手の人差し指を向かい合わせて、そばにいる人にその指と指の間を切る仕草をしてもらう方法や、中指と人差し指をクロスする等、様々なやり方が存在します。
また、「えんがちょ」が使われていたのは東京近辺のみで、地域によって「えっぴー」「バリア」「がっぴ」など、似た意味の異なった言い方が多数存在します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・小学二年生の子供にとって、おべっかは、えんがちょとともに最大級の悪口であり、それを浴びせられた者は、もはや名誉回復が不可能なことを意味していた。
(出典:山田正紀『少女と武者人形』)
・「クソ、えんがちょ、ババ映画である」 ある雑誌にこう書いたら反論の手紙が、女性から来たので驚いた。
(出典:姫野カオルコ『愛は勝つ、もんか』)
・げー、えんがちょ。
(出典:日明恩『埋み火』)
・そのうち、皆がキャーキャー言いながら「エンガチョ」されることから逃げまわることになります。
(出典:酒井順子『たのしい・わるくち』)
・私は、周五郎は、必ずや、両手の指で輪をつくり、エンガチョと叫んで唾を吐きだすだろうと思う。
(出典:山口瞳『酔いどれ紀行』)
類語
・縁を切る(えんをきる)
意味:あることとの関係を解消する。(出典:デジタル大辞泉)
・袂を分かつ(たもとをわかつ)
意味:行動を共にした人と別れる。関係を断つ。離別する。(出典:デジタル大辞泉)
・絶好(ぜっこう)
意味:交際を絶つこと。(出典:デジタル大辞泉)
・絶縁(ぜつえん)
意味:関係を断ち切ること。縁を切ること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・決別・訣別(けつべつ)
意味:いとまごいをして別れること。現在では、今までの仲間や世界ときっぱりと永久に別れることをいうことが多い。(出典:精選版 日本国語大辞典)