嘱託
「嘱託の身となる」などのように使う「嘱託」という言葉。
「嘱託」は、音読みで「しょくたく」と読みます。
「嘱託」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「嘱託」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
嘱託の意味
「嘱託」には次の二つの意味があります。
1 仕事を頼んで任せること。委嘱。
2 正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。また、その依頼された人やその身分。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
嘱託の意味①「仕事を頼んで任せること。委嘱。」
「嘱託」の一つ目の意味は「仕事を頼んで任せること。委嘱。」です。
「嘱」には「頼む」、「託」には「ゆだねる」という意味があります。
「嘱託」は、何かをしてもらうよう頼み、その人にゆだねることをいいます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その後は、教科書の編纂と検定を文部省から嘱託されている。
(出典:松本清張『小説東京帝国大学(下)』)
・彼は一八八四年の夏、政府の嘱託を受けて古美術を研究するためにここに来た。
(出典:和辻哲郎『古寺巡礼』)
・それからもう一点、こういう場合は所轄の警察署から、鑑定嘱託書が来るわけですね。
(出典:佐木隆三『深川通り魔殺人事件』)
・兄が御遺族の嘱託によって、三月から筆を執って『西周伝』を草し畢ったのはその年の十月中旬です。
(出典:小金井喜美子『鴎外の思い出』)
類語
・委嘱(いしょく)
意味:一定期間、特定の仕事を他の人に任せること。委託。(出典:デジタル大辞泉)
・依頼(いらい)
意味:人に用件を頼むこと。(出典:デジタル大辞泉)
・委託(いたく)
意味:ゆだね任せること。人に頼んで代わりにやってもらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・頼む(たのむ)
意味:相手に、こちらが希望するようにしてくれることを伝えて願う。依頼する。(出典:デジタル大辞泉)
嘱託の意味②「正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。また、その依頼された人やその身分。」
「嘱託」の二つ目の意味は「正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。また、その依頼された人やその身分。」です。
「嘱託の身となる」で「正規の従業員ではない立場で働くこととなる」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ある会社の重役が定年を迎え、それ以後は嘱託の身分となった。
(出典:青木雨彦『平家物語の知恵』)
・彼は親類の伝手で、ある貿易会社に勤め、妻もまた、その会社の嘱託となって働いた。
(出典:柏原兵三『徳山道助の帰郷』)
・この日は非常勤の嘱託医が施設内にいた。
(出典:篠田節子『ハルモニア』)
・戦争中私は日本映画社というところで嘱託をしていた。
(出典:坂口安吾『続堕落論』)
類語
・非正規雇用(ひせいきこよう)
意味:期間を限定し、比較的短期間での契約を結ぶ雇用形態。(出典:デジタル大辞泉)
・非常勤(ひじょうきん)
意味:常勤ではなく、日数や時間数を限って勤務すること。(出典:デジタル大辞泉)
・臨時雇い(りんじやとい)
意味:臨時にある期間だけ雇い入れること。また、その人。(出典:デジタル大辞泉)
・顧問(こもん)
意味:会社、団体などで、相談を受けて意見を述べる役。また、その人。(出典:デジタル大辞泉)