埒
「埒があかない」などのように使う「埒」という言葉。
「埒」は、音読みで「らち」と読みます。
「埒」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「埒」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
埒の意味
「埒」には次の二つの意味があります。
1 物の周囲に、また仕切りとして設けた柵。駅の改札口付近の柵など。
2 物事の区切り。また、限界。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
埒の意味①「物の周囲に、また仕切りとして設けた柵。駅の改札口付近の柵など。」
「埒」の一つ目の意味は「物の周囲に、また仕切りとして設けた柵。駅の改札口付近の柵など。」です。
特に「馬場や牧場などの周囲に巡らした柵」という意味で使うこともあります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・坂を上って、牧場の埒内に入る。
(出典:徳冨蘆花『みみずのたはこと』)
・乗客はいずれも埒の中へと急いだ。
(出典:島崎藤村『破戒』)
・栗毛が一匹もう退屈で我慢がし切れなくなって、埒を跳り越えて出た。
(出典:森鴎外訳『諸国物語(下)』)
・庭には埒が結ばれて、五月の遊び場所ができているのである。
(出典:与謝野晶子『源氏物語』)
埒の意味②「物事の区切り。また、限界。」
「埒」の二つ目の意味は「物事の区切り。また、限界。」です。
「柵」という意味から転じて、比喩的に「物事の区切り」という意味で使うことが多いです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・もはや何を言っても埒があかないことは、誰の目にも明らかだった。
(出典:高千穂遙『美獣 神々の戦士』)
・もう少しここが都会ならな、と埒もないことを思ってため息をついた。
(出典:西田俊也『love history』)
・金をやって、はっきりと埒を明けた方がよかろう。
(出典:岡本綺堂『半七捕物帳』)
・こういう男にも理性の埒を踏みこえた底なしの穴のような混乱もあった。
(出典:坂口安吾『吹雪物語』)