不遇
「不遇な運命を嘆く」などのように使う「不遇」という言葉。
「不遇」は、音読みで「ふぐう」と読みます。
「不遇」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「不遇」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
不遇の意味
「不遇」には次の意味があります。
・時世にめぐまれないために出世できないこと。運が悪くて、才能・人物にふさわしい地位・境遇を得ていないこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
不遇の「遇」は時世に合うという意味を持った漢字です。
否定語の「不」とセットになることで、その時々のめぐり合わせが悪くて才能や能力が認められず、それにふさわしい地位や境遇を得られないことを意味する言葉となりました。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この不遇な運命を慰めてくれるものは唯、歌と詩とのみでありました。
(出典:永畑道子『恋の華・白蓮事件』)
・自分の一生は不遇だったのだから、娘の未来だけはこうありたいという理想を持っている。
(出典:与謝野晶子『源氏物語』)
・己惚れと云うものが、第一に自分を不遇のなかに追いこんでいるのだ。
(出典:林芙美子『新版 放浪記』)
・人間は誰も自分の不幸や不遇の状態を変えようとして力を尽くす。
(出典:竹田青嗣『ニーチェ入門』)
・生涯不遇だったポーにとって、つかのまの栄光の時が訪れた時期でもあった。
(出典:小鷹信光『アメリカン・ヒーロー伝説』)
類語
・憂き目(うきめ)
意味:つらいこと。苦しい体験。(出典:デジタル大辞泉)
・運の尽き(うんのつき)
意味:人の命運が尽きて最後の時が来たこと。また、そのことを事実として示しているような事柄。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)
意味:重ね重ねひどい目にあうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・数奇(すうき)
意味:運命のめぐりあわせが悪いこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・貧乏籤(びんぼうくじ)
意味:他と比べてひどく不利益なくじ。また、最も損な役まわり。(出典:デジタル大辞泉)