煮詰まる
「計画が煮詰まる」などのように使う「煮詰まる」という言葉。
「煮詰まる」は、訓読みで「につまる」と読みます。
「煮詰まる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「煮詰まる」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
煮詰まるの意味
「煮詰まる」には次の三つの意味があります。
1 長時間煮て、水分がなくなる。
2 十分に議論・相談などをして、結論が出る状態になる。
3 時間が経過するばかりで、もうこれ以上新たな展開が望めない状態になる。 (出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
煮詰まるの意味①「長時間煮て、水分がなくなる。」
「煮詰まる」の一つ目の意味は「長時間煮て、水分がなくなる。」です。
煮物やジャムなど最初は水分が多く、長時間煮込み、煮詰まることで完成する料理です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・煮詰まったコーヒーの香りと春の夜とは、どこか似ていることを知るだけだ。
(出典:岩井志麻子『恋愛詐欺師』)
・五合の水が二合位に煮詰った時裏漉にしてまた布で漉します。
(出典:村井弦斎『食道楽』)
・客一人帰ったあとの座敷の中は、シャンデリアを包んで煮詰った物の匂いと煙草の煙りとが濛々としている。
(出典:岡本かの子『家霊』)
類語
・煮上がる(にあがる)
意味:十分に煮える。(出典:大辞林 第三版)
・煎じ詰める(せんじつめる)
意味:茶・薬などを、その成分がすっかり出つくすまで煮る。(出典:デジタル大辞泉)
・ゆだる
意味:ゆであがる。(出典:大辞林 第三版)
煮詰まるの意味②「十分に議論・相談などをして、結論が出る状態になる。」
「煮詰まる」の二つ目の意味は「十分に議論・相談などをして、結論が出る状態になる。」です。
「議論が煮詰まる」などの場合はこの意味で、比喩的な用法です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・映画のシナリオはあたしの頭の中でバッチリ煮詰まっているのよね。
(出典:谷川流『涼宮ハルヒの溜息』)
・まったく期待はしていなかったし、事が煮詰まってきた今となっては不要でもあった。
(出典:沢木冬吾『償いの椅子』)
類語
・終局(しゅうきょく)
意味:物事の結末がつくこと。(出典:デジタル大辞泉)
・出尽くす(でつくす)
意味:残らず出て、あとに何も残らない状態になる。(出典:大辞林 第三版)
・纏まる(まとまる)
意味:望ましい形に落ち着く。(出典:大辞林 第三版)
煮詰まるの意味③「時間が経過するばかりで、もうこれ以上新たな展開が望めない状態になる。」
「煮詰まる」の三つ目の意味は「時間が経過するばかりで、もうこれ以上新たな展開が望めない状態になる。」です。
2つ目の結論が出る状態になるとは逆に、行き詰るという意味でも使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・このまま家の中にいたのでは、気持ちが煮詰まってしまう。
(出典:江川紹子『私たちも不登校だった』)
・煮詰まると他のことがやりたくなるので、それで掲示板いじって。
(出典:井上トシユキ+神宮前.org『2ちゃんねる宣言 挑発するメディア』)
・川を渡る必要が生じるのはおそらく、戦況が煮詰まる終盤になってからだ。
(出典:九里史生『SAO Web 03』)
・このあたりのことを思い返すと、ぐつぐつと煮詰まってくる広田である。
(出典:小野不由美『悪夢の棲む家 (上) 挿絵あり』)
類語
・停滞(ていたい)
意味:物事が順調に進まないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・滞る(とどこおる)
意味:物事が順調に運ばない。(出典:デジタル大辞泉)
・立ち往生(たちおうじょう)
意味:物事が行き詰まりの状態になって処置に困ること。(出典:大辞林 第三版)