縋る
「親に縋る」などのように使う「縋る」という言葉。
「縋る」は、訓読みで「すがる」と読みます。
「縋る」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「縋る」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
縋るの意味
「縋る」には次の二つの意味があります。
1 頼りとするものにつかまる。
2 助力を求めて頼りとする。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
縋るの意味①「頼りとするものにつかまる。」
「縋る」の一つ目の意味は「頼りとするものにつかまる。」です。
この意味は「物」に体重をかけて頼るなど「物」に対して使います。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そして幸いにして、沈没した自分の船の板片に縋りつくことができた。
(出典:佐藤正彰訳『千一夜物語』)
・それでさへ怒り得ないで、悄々と杖に縋って背負って帰る男ぢやないか。
(出典:泉鏡花『紅玉』)
・彼女は自ら用意してゐたと信じた第二の武器に縋りついた。
(出典:神西清『青いポアン』)
類語
・齧り付く(かじりつく)
意味:一つの物事に執着して離れまいとする。(出典:デジタル大辞泉)
・頼る(たよる)
意味:助けとして用いる。依存する。(出典:デジタル大辞泉)
・しがみつく
意味:しっかりと取りつく。力をこめてすがりつく。(出典:精選版 日本国語大辞典)
縋るの意味②「 助力を求めて頼りとする。」
「縋る」の二つ目の意味は「 助力を求めて頼りとする。」です。
この意味は主に、「人」に金銭面などで援助してほしい時など、「人」に対して頼る場合に使われます。
具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・隣の女の子が肩をびくっとさせて、自分のお母さんに縋るように見上げた。
(出典:入間人間『電波女と青春男 第4巻』)
・この女は、弱さを武器にして、男を利用したり、縋ろうとはしていない。
(出典:坂東眞砂子『旅涯ての地(下)』)
・その時である、私の視線が縋るようにあの老人へと向かったのは。
(出典:松下竜一『砦に拠る』)
・死ぬかもしれないという恐怖の中で、彰洋が縋ったのは麻美だった。
(出典:馳星周『生誕祭(下)』)
・科学に縋らなければ、人類は一日たりとも安全を保証し得ない時代となった。
(出典:海野十三『『地球盗難』の作者の言葉』)
類語
・依存(いぞん)
意味:他に頼って存在、または生活すること。(出典:デジタル大辞泉)
・頼む(たのむ)
意味:たよりになるものとしてあてにする。力としてたよる。(出典:デジタル大辞泉)
・恃む(たのむ)
意味:たのむ、力にして頼りとする。(出典:デジタル大辞泉)