睥睨
「天下を睥睨する」などのように使う「睥睨」という言葉。
「睥睨」は、音読みで「へいげい」と読みます。
「睥睨」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「睥睨」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
睥睨の意味
「睥睨」には次の二つの意味があります。
1 にらみつけて勢いを示すこと。
2 横目でじろりとにらみつけること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
睥睨の意味①「にらみつけて勢いを示すこと。」
「睥睨」の一つ目の意味は「にらみつけて勢いを示すこと。」です。
睨んで勢いを示し、圧をかけていることを表す際に使用されます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・巨大なその蜂は、あたりを睥睨しながら強い羽音をたてて去って行った。
(出典:遠藤徹『姉飼』)
・みんなを睥睨していた眼からも力が消えて、ふと、惠は視線を逸らす。
(出典:暁works『るいは智を呼ぶ4 白鞘伊代』)
・オスマン氏は教師たちを引き連れて中二階に現れ、生徒たちを睥睨した。
(出典:ヤマグチノボル『ゼロの使い魔 第5巻〈トリスタニアの休日〉』)
・そこから何やら恐ろしい死の使いが睥睨しているとわかったのだ。
(出典:岩井志麻子『夜啼きの森』)
類語
・軽蔑(けいべつ)
意味:いやしい、劣っている、つまらないなどと感じてばかにすること。かるくみてあなどること。さげすむこと。見下げること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・威徳(いとく)
意味:おごそかでおかしがたい徳。人を自然に従わせる威厳と人徳。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・畏怖(いふ)
意味:おそれおののくこと。また、その気持。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・高圧的(こうあつてき)
意味:当然こちらの言うことを聞くべきだという威圧するような態度で、相手を従わせようとするさま。高飛車。(出典:精選版 日本国語大辞典)
睥睨の意味②「横目でじろりとにらみつけること。」
「睥睨」の二つ目の意味は「横目でじろりとにらみつけること。」です。
こちらは「横目で睨む」という意味です。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・紫色の潤みを帯びた大きな目は傍で観ている人々を睥睨するかのよう。
(出典:島崎藤村『破戒』)
・男がふたりと女がひとり、席について食事をしている人々を、立ったまま睥睨していた。
(出典:アン・マキャフリイ『クリスタル・シンガー(全2巻) 1 クリスタル・シンガー』)
・工場のドーム群と、それを睥睨する企業の環境建築の巨大な立方体群とがある。
(出典:ギブスン『ニューロマンサー』)
・そして一瞬、床に倒れた清美の姿を睥睨すると、彼女を跨いで部屋に入った。
(出典:加門七海『203号室』)
類語
・凄味(すごみ)
意味:ぞっとするほどの恐ろしさや迫力。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・威嚇(いかく)
意味:威力を相手に示しておどすこと。おどかし。存在そのものが示す威圧感による脅威をいい、必ずしも行為を伴わない。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・睨む(にらむ)
意味:目をいからしてじっと見る。鋭い目つきで見る。(出典:デジタル大辞泉)
・脅す(おどす)
意味:相手を恐れさせる。脅迫する。おどかす。(出典:デジタル大辞泉)