恐縮
「それは恐縮です」というように使われる「恐縮」という言葉。
「きょうしゅく」と読みます。
目上の人などに普段使っている人ももしかしたら多いかもしれませんが、意味を説明すると少し難しいかもしれません。
この記事では「恐縮」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
恐縮の意味
「恐縮」には次の二つの意味があります。
1 おそれて身がすくむこと。
2 相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。(デジタル大辞泉)
それぞれの意味と使い方については下記の通りです
恐縮の意味①「おそれて身がすくむこと」
恐縮の一つ目の意味は「おそれて身がすくむこと」です。
「恐縮しながら扉を開けた」で、「とても恐がりながら扉を開けた」という意味になります。
恐がっている様子を表す時に「恐縮する」と表現します。
何か恐い時、良くない状況の時に使える言葉です。
使い方・例文
・ユダヤ人はひどく恐縮しながらほとんど横さまに彼の傍へ歩いて行った。
(出典:ゴーゴリ/原久一郎訳『隊長ブーリバ』)
・番頭は非常に恐縮して、すぐその足で竜之助のところへやって来ました。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・葉介は慌ててシャツのボタンを止めながら、恐縮してベッドに横になった。
(出典:原田宗典『屑籠一杯の剃刀 自選恐怖小説集』)
・その声にふたりの提督は顔の向きを変え、恐縮の表情とともに一礼した。
(出典:田中芳樹『銀河英雄伝説 05 風雲篇』)
・後で本人からよく謝らせますからって、彼女も恐縮しきっていましたよ。
(出典:林真理子『美食倶楽部』)
・松崎は、この間と同じように、いかにも恐縮しきった顔で、入ってきた。(出典:西村京太郎『夜の脅迫者』)
恐縮の意味②相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと
恐縮の二つ目の意味は「相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。」です。
こちらの意味は会社など、目上の人に何かお世話になったり、何かをもらった時に使われる言葉ではないでしょうか。
より身近かもしれませんね。
「この席にお招きいただき、恐縮に思います」で、相手に招いていただいたことに対して申し訳ないです、という感情を伝えることができます。
使い方・例文
・私は恐縮して礼をのべ、当日の夕食に出席しないわけにはいかなかった。
(出典:ヴィドック/三宅一郎訳『ヴィドック回想録(1)』)
・その声にふたりの提督は顔の向きを変え、恐縮の表情とともに一礼した。
(出典:田中芳樹『銀河英雄伝説 05 風雲篇』)
・やっとのことで労働者は二人に恐縮そうにお叩頭して出ていった。
(出典:平林初之輔『頭と足』)
・高田は五千円はお見舞料だと説明したが、これにも奥さんは恐縮する。
(出典:松本清張『事故 別冊黒い画集1』)
・雅子たちの夜勤体制を知ってか、午前中の訪問にひたすら恐縮している。
(出典:桐野夏生『OUT(上)』)
・私事を申しあげて恐縮であるが、私は佐々木三冬の大ファンであります。
(出典:池波正太郎『剣客商売 01』)