不穏
「不穏」と書いて「ふおん」と読み、「不穏な空気」などのような使い方をします。
「不穏な政治情勢」などともつかいます。
「空気」や「情勢」ですから、目に見えるものではありませんが、できれば払いのけてしまいたいもの。
この記事では「不穏」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
不穏の意味
「不穏」には次の意味があります。
・おだやかでないこと。危機や危険をはらんでいること。また、そのさま。
(出典:大辞林 第三版)
ある出来事や状況が周りに及ぼす影響が、結果として何かよくないことを引き起こしてしまうかもしれないというようなとき、「不穏な空気が流れる」ことになります。
対義語は「平穏」です。
具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・でなくても、江戸が不穏であるのは無理からぬことだったでしょう。 朝廷は徳川氏を存続することは約束しましたが、どこでいかほど与えるかも、居城が江戸城となるか他のところになるかについても、一切明言しなかったのですからね。
(出典:海音寺潮五郎『さむらいの本懐』)
・いや、不穏なる国際関係という奴は、身にしみて忘れがたいところです。
(出典:坂口安吾『不連続殺人事件』)
・そのぎこちなさには何かしら不穏な要素が含まれているようだった。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK2』)
・領内の一色家に、また不穏な動きでもあったのかと、玉子は思っていた。青いみすの向こうに、今日は久しぶりに晴れた余佐の海が見える。
(出典:三浦綾子『細川ガラシャ夫人』)
・先生方も不穏の空気を感じたのか、二十人ぐらいいらしたそうです。
(出典:山口瞳『人殺し(上)』)
・二人が結ばれたころの京都は、血風吹きすさぶ不穏な日々がつづいていた。
(出典:古川薫『桂小五郎(下)』)