長い物には巻かれろ
「今は長い者には巻かれろ」などのように使う「長い物には巻かれろ」という言葉。
「長い物には巻かれろ」は、「ながいものにはまかれろ」と読みます。
「長い物には巻かれろ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「長い物には巻かれろ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
長い物には巻かれろの意味
「長い物には巻かれろ」には次の意味があります。
・自分より力の強いものや上位の者には、とりあえず従っておくのが無難で得策であるというたとえ。(出典:ことわざを知る辞典)
言い換えると、その場をうまくやり過ごすには、立場の強い人や権力が示唆する通りに、逆らわずに言うことを聞いておいた方がいい、という意味です。
「問題を起こさないために」という前向きな意味で使われる場合もあれば、「本当は反対だけど」「正しくないとは分かっているが」というような、反発する気持ちを抑えて仕方なく従うというような、後ろ向きの意味で使われる場合もあります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・だがそのために、今まで放蕩したこともなく、長い物には巻かれろ主義で、ひたすら家庭平和を保持している良人が、物足りない以上に、憎らしくさえ思っている。
(出典:菊池寛『貞操問答』)
・倉川にあいだけの資本を握つて居られたんぢや、いくらいきり立つたつて先ず喧嘩にやならないからな。長い物には巻かれろつて言ふ所だらう。
(出典:三好十郎『地熱』)
・それ以後は長い物には巻かれろで、稲垣、里村派で固めるいまの藩権力にすり寄る者が続出し、いまもひそかに横山派を支援するのは金井村一村だけになったと青木は言った。
(出典:藤沢周平『蝉しぐれ』)
・言いずくにすりゃァただでも取り返せる、けれども長い物には巻かれろ、犬の糞で敵を取られてもつまらねえから、これだけ持ってって道具箱をおくんなさいというんだ。
(出典:今村信雄編『古典落語(下)』)
・長い物には巻かれろだ。栄屋が相手じゃ勝ち目はねえ。
(出典:杉本苑子『大江戸ゴミ戦争』)
類語
・長い物には巻かれよ(ながいものにはまかれよ)
意味:勢力・権力のある者には、逆らわないほうが得である。(出典:デジタル大辞泉)
・寄らば大樹の陰(よらばたいじゅのかげ)
意味:頼りにするのなら、大きな勢力のあるものを選ぶのが得策であるというたとえ。(出典:ことわざを知る辞典)
・泣く子と地頭には勝てぬ(なくことじとうにはかてぬ)
意味:道理の通じない子供や権力者とは、争ってもどうにもならない。(出典:ことわざを知る辞典)
・付和雷同・附和雷同(ふわらいどう)
意味:主義主張を持たず、軽々しく他人の説に同調すること。(出典:四字熟語を知る辞典)
・恭順(きょうじゅん)
意味:命令につつしんで従う態度をとること。(出典:デジタル大辞泉)