遺恨
「遺恨が残る」などのように使う「遺恨」という言葉。
「遺恨」は、音読みで「いこん」と読みます。
「遺恨」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「遺恨」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
遺恨の意味
「遺恨」には次の二つの意味があります。
1 残念に思うこと。思いをのこすこと。
2 恨み。忘れられない憎しみ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
遺恨の意味①「残念に思うこと。思いをのこすこと。」
「遺恨」の一つ目の意味は「残念に思うこと。思いをのこすこと。」です。
この意味を分かりやすく言うと「心残り」のことです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・われ亡きのちは子を護り、父に勝る者を育てて、父の遺恨をすすがせよ。
(出典:吉川英治『三国志』)
・実際のことで言えば、遺恨からこのような勝負に入ることが多い。
(出典:夢枕獏『東天の獅子 第四巻 天の巻・嘉納流柔術』)
・一生の遺恨、また一生の満足の多くのものはこの建物に滲んでゐるのだ。
(出典:坂口安吾『吹雪物語』)
・だから私と共に戦場や交渉の場に出て、遺恨も死も共に受けて欲しいと。
(出典:川上稔『AHEADシリーズ 2 終わりのクロニクル1〈下〉』)
類語
・遺憾(いかん)
意味:思い通りにいかないで、心残りなこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・心残り(こころのこり)
意味:あとに思いが残ってすっきり思い切れないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・残念(ざんねん)
意味:もの足りなく感じること。(出典:デジタル大辞泉)
・痛恨(つうこん)
意味:ひどく残念がること。(出典:デジタル大辞泉)
遺恨の意味②「恨み。忘れられない憎しみ。」
「遺恨」の二つ目の意味は「恨み。忘れられない憎しみ。」です。
「遺恨試合」であれば、互いに恨みや憎しみを持った人同士が出場する試合のことをいいます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・今の発言通り、父のことは尊敬しているし、兄に遺恨がある訳でもない。
(出典:京極夏彦『鉄鼠の檻』)
・父に対する遺恨の感情をとおして見た私の勝手な判断ではないはずだ。
(出典:辻井喬『いつもと同じ春』)
・裏切の遺恨にみちた冷めたい顔が誓ひの中に見えなければならないのだ。
(出典:坂口安吾『吹雪物語』)
・細君に対する遺恨で胸のなかが煮えくり返って、彼は憎々しげに考えた。
(出典:チェーホフ・アントン『富籤』)
類語
・怨恨(えんこん)
意味:深いうらみの心。(出典:デジタル大辞泉)
・宿意(しゅくい)
意味:かねてから抱いている恨み。(出典:デジタル大辞泉)
・積怨(せきえん)
意味:積もるうらみ。(出典:デジタル大辞泉)
・意趣(いしゅ)
意味:人を恨む気持ち。(出典:デジタル大辞泉)