藪医者
「藪医者が誤診する」などのように使う「藪医者」という言葉。
「藪医者」は、「やぶいしゃ」と読みます。
「藪医者」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「藪医者」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
藪医者の意味
「藪医者」には次の意味があります。
・診断・治療の下手な医者。藪薬師。やぶ。(出典:デジタル大辞泉)
医療技術が無い医者を指して用いる言葉です。
「やぶ」はもともと「野巫」で、本来は「呪術を医薬とともに用いる者」の意であったそうです。それに「藪」「野夫」などの漢字をあてて、田舎医者の意となり、あざけっていったものだと考えられています。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・彼女が具合はよくないと答えると、その藪医者は妙な診断を下したのよ。
(出典:アレティーノ/結城豊太訳『ラジオナメンティ』)
・近所でも評判の藪医者の思わぬ出世に、人々はあれこれ噂したものです。
(出典:林真理子『本朝金瓶梅』)
・時節はまだ春だというのに、件の藪医者は浴衣がけで酒を飲んでいました。
(出典:浅田次郎『壬生義士伝 下』)
・相手がいくら藪医者だからとて、薬の事は「陳皮も知らず」とはあんまりだ。
(出典:種村季弘『迷信博覧会』)
・すっかり藪医者の評判が立ち、近くの横丁でうろうろしているありさまです。
(出典:林真理子『本朝金瓶梅』)
・医者が不治の患者とみると藪医者へ廻したりする、あれと同じさ。
(出典:A・C・ドイル『新潮文庫 シャーロックホームズ全集 隠居絵具屋』)
・セルムーズに医者が一人いたけれど大変な藪医者で、土地のものは誰も頼りにしていなかった。
(出典:ガボリオ/松村喜雄訳『ルコック探偵(上)』)
・あんなにドイツ語の出来なかった男が、藪医者以外になり得よう筈がないと思ったのであろう。
(出典:なだいなだ『クレージイ・ドクターの回想』)