薫風
「薫風に吹かれて」などのように使う「薫風」という言葉。
「薫風」は、音読みで「くんぷう」と読みます。
「薫風」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「薫風」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
薫風の意味
「薫風」には次の意味があります。
・初夏、新緑の間を吹いてくる快い風。(出典:デジタル大辞泉)
5月の初めごろから6月にかけて、新緑の間を若葉の香りをまとって吹いてくる南風のことを言います。
元は漢語であり、「風薫る(かぜかおる)」と訓読みして和語化し、初夏の季語として和歌に詠まれることもあります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・窓からは庭の草花のゆたかな香りや、夏の薫風が流れこんでくる。
(出典:A・C・ドイル『新潮文庫 シャーロックホームズ全集 海軍条約文書事件』)
・私が妻にこの話をすると、彼女は断髪を薫風に与えて微笑した。
(出典:谷譲次『踊る地平線』)
・桜に化けた妖蝶たちが南へと渡ってゆき、大江戸に爽やかな薫風の吹く頃。
(出典:香月日輪『大江戸妖怪かわら版4 天空の竜宮城』)
・ただ夏の風というくらいの意に用いるものなれば「薫風」とつづけて一種の風の名となすにしかず。
(出典:正岡子規『俳人蕪村』)
・五月二十二日の東京競馬場には薫風というよりは秋の気配があった。
(出典:山口瞳『草競馬流浪記』)
類語
・緑風(りょくふう)
意味:青葉を吹く、初夏の風。(出典:デジタル大辞泉)
・涼風(すずかぜ、りょうふう)
意味:すずしい風。夏の終わりに吹くさわやかな風。(出典:デジタル大辞泉)
・黒南風(くろはえ)
意味:梅雨の初めに吹く南風。(出典:デジタル大辞泉)
・白南風(しらはえ、しろはえ)
意味:梅雨が明ける6月末ごろから吹く南風。(出典:デジタル大辞泉)
・山背(やませ)
意味:山を越えて吹いてくる風。また、夏、東北地方の太平洋岸に吹く冷涼な北東風。(出典:精選版 日本国語大辞典)