葛藤
「親子の葛藤」などのように使う「葛藤」という言葉。
「葛藤」は、音読みで「かっとう」と読みます。
「葛藤」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「葛藤」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
葛藤の意味
「葛藤」には次の二つの意味があります。
1 人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと。
2 心の中に相反する動機・欲求・感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
葛藤の意味①「人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと。」
「葛藤」の一つ目の意味は「人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと。」です。
言い換えると、もつれることや悶着することになります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・無論、お雪は、二人の間の執拗なる葛藤を、少しも知っているのではない。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・二組の男女の恋の葛藤の場と同じ森においてである。
(出典:シェイクスピア/大山敏子訳『真夏の夜の夢』)
・しかしここでは、両者の葛藤及び融合の歴史を語るつもりはない。
(出典:松平維秋『松平維秋の仕事』)
・男と女の葛藤のようなものをくぐりぬけないかぎり、男女の友情は成立しない。
(出典:森瑤子『別れ上手』)
類語
・悶着(もんちゃく)
意味:感情や意見の食い違いから起こるもめごと。いさかい。(出典:デジタル大辞泉)
・相克(そうこく)
意味:対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・衝突(しょうとつ)
意味:突き当たること。ぶつかること。 (出典:大辞林 第三版)
・対立(たいりつ)
意味:二つの反対の立場にあるものが並び立っていること。(出典:大辞林 第三版)
葛藤の意味②「心の中に相反する動機・欲求・感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うこと。」
「葛藤」の二つ目の意味は「心の中に相反する動機・欲求・感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うこと。」です。
自分の心の中にある複数の感情が混ざり合って、どれを選択するべきか悩むことを表しています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・さまざまな葛藤の末、自分の過去と夫とのことを書くことに決めたのだ。
(出典:林真理子『ロストワールド』)
・不可能と思いつつもまだ納得したくないという妙な葛藤が僕にはある。
(出典:酒見賢一『墨攻』)
・彼女もひとりで深く迷っているでしょうし、私にも強い葛藤があります。
(出典:賀東招二『フルメタル・パニック!11 ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)』)
・ここでそれ以上にどんな心の葛藤があったかは私にはわからない。
(出典:呉善花『スカートの風』)
類語
・ジレンマ
意味:自分の思い通りにしたい二つの事柄のうち,一方を思い通りにすると他の一方が必然的に不都合な結果になるという苦しい立場。(出典:大辞林 第三版)
・コンフリクト
意味:意見・感情・利害の衝突。(出典:デジタル大辞泉)
・板挟み(いたばさみ)
意味:対立する二者の間に立ってどちらに付くこともできず、苦しむこと。(出典:デジタル大辞泉)
・苦慮(くりょ)
意味:あれこれを考慮して悩むこと、事の次第をあれやこれやと考えて苦しむことなどを意味する表現。(出典:大辞林 第三版)