色即是空
「色即是空」は仏教の言葉です。
「しきそくぜくう」と読みます。
漢字だけでは理解しずらい言葉なので、この難しい言葉の意味をしっかりと理解していきましょう。
この記事では「色即是空」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
色即是空の意味
「色即是空」には次の意味があります。
・この世にあるすべてのもの(色)は、因と縁によって存在しているだけで、固有の本質をもっていない(空)という、仏教の基本的な教義。(出典:大辞林)
「色即是空」をわかりやすく言うと「この世の形あるものや現象は、実在するものではない」というような意味になります。
仏教では、物質や現象には、はっきりとした正体がないものと考えられています。
「色即是空」の具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・恋愛にしても、余りに自由な愛欲は、悲哀を伴い、色即是空の思いを誘う。
(出典:吉川英治『随筆 新平家』)
・けれど、こうすさまじく生き過ぎている人間の耳には、色即是空の梵音も、馬の耳に念仏というものである。
(出典:吉川英治『宮本武蔵』)
・いや、いや、汝ヤナギが色即是空にとりすがろうとするのは、そんな理由からではなかったはずだ。
(出典:武田泰淳『快楽』)
・それなら一切空でもなんでも大丈夫、生きていけるかもしれないが、日常生活で色即是空では、いささか問題が生じよう。
(出典:養老孟司『無思想の発見』)
・然しその西鶴が、風流人の上に風人をもちだしてきて、色即是空を単に地口や洒落でなく書いてこの世への「置土産」にしているのも興味あることである。
(出典:唐木順三『無用者の系譜』)