膿
「傷口から膿がでる」などのように使う「膿」という言葉。
「膿」は、訓読みで「うみ」と読みます。
「膿」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「膿」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
膿の意味
「膿」には次の二つの意味があります。
1 炎症部が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液。
2 団体などの内部に蓄積した弊害のたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
膿の意味①「炎症部が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液。」
「膿」の一つ目の意味は「炎症部が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液。」です。
「膿」とは、「傷口に表れる黄白色の粘液」のことで、傷をつけると流れ出してきます。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・退院したという話を聞かぬ以上、まだ膿が出続けているに違いなかった。
(出典:渡辺淳一『光と影』)
・そしてそこから膿が流れ、鼻のところまでかさぶたように固まっていた。
(出典:フローベール/白井浩司訳『ボヴァリー夫人』)
・自分の体の膿を吸つて太つた蛆の白いのがうようよ動いてゐるのが見える。
(出典:森林太郎『笑』)
・部屋の中は蒸し熱く、膿の匂いと血の匂いと薬の匂いとで充たされていた。
(出典:国枝史郎『神州纐纈城』)
類語
・化膿(かのう)
意味:膿うむこと。傷口などから化膿菌が侵入して炎症を起こした状態。(出典:デジタル大辞泉)
・膿む(うむ)
意味:腫れ物や傷が、うみをもつ。化膿する。(出典:デジタル大辞泉)
・かさぶた
意味:皮膚が創傷を受けたとき,傷口から浸出した血液や組織液が乾固したもの。(出典:百科事典マイペディア)
・粘液(ねんえき)
意味:ねばりけのある液体。ねばねばした汁。(出典:精選版 日本国語大辞典)
膿の意味②「団体などの内部に蓄積した弊害のたとえ。」
「膿」の二つ目の意味は「団体などの内部に蓄積した弊害のたとえ。」です。
組織の中にあった害のある風習などを「膿」に例えています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・自分達の手で腐った部分を削る勇気も、膿を出す知恵もありはしない。
(出典:幸田真音『傷 邦銀崩壊(上)』)
・世間は誰もそんな姿勢を求めておらず、当然、悪い膿を出すことを期待していました。
(出典:養老孟司『バカの壁』)
・浅い眠りではあったが、確実に自分の精神から膿が出ていっていることを感じていた。
(出典:姫野カオルコ『ドールハウス -処女三部作1』)
・いずれは膿を出せねばならぬ時が来ると考えている。
(出典:半村良『石の血脈』)
類語
・癌(がん)
意味:機構、組織などの中にあって、大きな障害となっているもの。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・腐敗(ふはい)
意味:制度、組織などの内実が精神的に堕落すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・社会悪(しゃかいあく)
意味:社会に内在する矛盾から生じる害悪。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・悪習(あくしゅう)
意味:悪いならわし。悪い習慣。悪習慣。(出典:精選版 日本国語大辞典)