腹を据える
「腹を据えて取り掛かる」などのように使う「腹を据える」という言葉。
「腹を据える」は、訓読みで「はらをすえる」と読みます。
「腹を据える」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「腹を据える」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
腹を据えるの意味
「腹を据える」には次の二つの意味があります。
1 覚悟を決める。
2 がまんしてこらえる。心を落ち着ける。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
腹を据えるの意味①「覚悟を決める。」
「腹を据える」の一つ目の意味は「覚悟を決める。」です。
この意味では、ある物事を行うための決心をした場合に使われることが多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・辛島君は意外にも、腹を据えてこの運動をやっているのだった。
(出典:石川達三『充たされた生活』)
・よほど腹を据えてかからねばとても勤まりそうにないな、と思った。
(出典:上西晴治『十勝平野(下)』)
・よし、ここで腹を据えて一言、びしっと言ってやるのだ。
(出典:西尾維新『零崎双識の人間試験(全話)』)
・深呼吸してから腹を据え、真九郎は目を開けると、通話ボタンに親指を乗せた。
(出典:片山憲太郎『紅 第2巻 ~ギロチン~』)
類語
・踏み切る(ふみきる)
意味:ある行動を起こす決心をする。(出典:デジタル大辞泉)
・腹を括る(はらをくくる)
意味:覚悟を決める。(出典:デジタル大辞泉)
・決意(けつい)
意味:自分の意志をはっきりと決めること。(出典:デジタル大辞泉)
・志を立てる(こころざしをたてる)
意味:ある事を成し遂げようという気持ちをしっかりもつ。(出典:デジタル大辞泉)
腹を据えるの意味②「がまんしてこらえる。心を落ち着ける。」
「腹を据える」の二つ目の意味は「がまんしてこらえる。心を落ち着ける。」です。
「腹を据えかねる」であれば、「がまんしきれない」のように反語として使うことができます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼女が以前にも増して美しくなっているのに接し、一段と腹を据えかねた。
(出典:バルザック/小西茂也訳『風流滑稽譚(第一輯)』)
・するとその不敵なふるまいに腹を据えかねたのでございましょう。
(出典:芥川龍之介『蜘蛛の糸・地獄変』)
・最初の二、三秒、慶一の心はじたばたしていたが、すぐに腹を据えてしまった。
(出典:鶴岡雄二『45回転の夏』)
・後深草院のやり方にも腹を据えかねて、実兼は事の実否をたしかめたくなった。
(出典:杉本苑子『新とはずがたり』)
類語
・我慢(がまん)
意味:耐え忍ぶこと。(出典:デジタル大辞泉)
・抑える(おさえる)
意味:感情・欲望などが高ぶるのをとどめる。(出典:デジタル大辞泉)
・こらえる
意味:苦しみなどに、耐えてがまんする。(出典:デジタル大辞泉)
・腰を据える(こしをすえる)
意味:落ち着いて事に当たる。(出典:デジタル大辞泉)