素直
「素直な性格」などのように使う「素直」という言葉。
「素直」は、音読みで「すなお」と読みます。
「素直」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「素直」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
素直の意味
「素直」には次の五つの意味があります。
1 ありのままで、飾り気のないさま。素朴。
2 性質・態度などが、穏やかでひねくれていないさま。従順。
3 物の形などが、まっすぐで、ねじ曲がっていないさま。
4 技芸などにくせのないさま。
5 物事が支障なく、すんなり進行するさま。 (出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
素直の意味①「ありのままで、飾り気のないさま。素朴。」
「素直」の一つ目の意味は「ありのままで、飾り気のないさま。素朴。」です。
「素直なる山家」で「山の中の素朴な家」という意味になります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・素朴なる山家育ちのたのもしき所見えて。
(出典:露伴『風流仏』)
類語
・素朴(そぼく)
意味:人の性質・言動などが、素直で飾り気がないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・地味(じみ)
意味:服装・模様などが、はなやかでなく、質素なこと。かざりもなく、落ち着いていること。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・率直(そっちょく)
意味:かざりけがなく正直なこと。ありのままであること。また、そのさま。すなお。きすぐ。真率。(出典:精選版 日本国語大辞典)
素直の意味②「性質・態度などが、穏やかでひねくれていないさま。従順。」
「素直」の二つ目の意味は「性質・態度などが、穏やかでひねくれていないさま。従順。」です。
一般的には、この意味で使うことが最も多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あたし、これからは何でもお前さんのいうことを素直に聞きますからね。
(出典:岡本綺堂『両国の秋』)
・急にあなたを美しいと感じたもんですから素直にいっただけです。
(出典:海野十三『海底都市』)
・その言葉を今の夫人は以前のように素直な心で受け取ることが出来ない。
(出典:矢田津世子『女心拾遺』)
類語
・温厚(おんこう)
意味:人あたりがやわらかくてまじめなさま。おだやかで情け深いさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・従順(じゅうじゅん)
意味:性格や態度がおだやかで、人に逆らわないこと。すなおなこと。また、そのさま。柔順。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・優しい(やさしい)
意味:性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。(出典:デジタル大辞泉)
素直の意味③「物の形などが、まっすぐで、ねじ曲がっていないさま。」
「素直」の三つ目の意味は「物の形などが、まっすぐで、ねじ曲がっていないさま。」です。
「素直な木」で、節などの無いまっすぐな木を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ただ黒い、素直な髪が、長々と肩の上に垂れ下っているばかりだった。
(出典:福永武彦『夢みる少年の昼と夜』)
類語
・真っ直ぐ(まっすぐ)
意味:少しも曲がることのないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・直(じき)
意味:まっすぐであるさま。一直線であるさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ストレート
意味:っすぐなこと。一直線なこと。まわり道をしないこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
素直の意味④「技芸などにくせのないさま。」
「素直」の四つ目の意味は「技芸などにくせのないさま。」です。
「素直な字」で、癖のないきれいな字を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・作者はやさしい素朴な恋愛を素直な文章で書き上げることができたのです。
(出典:スタンダール『赤と黒』)
・その生活中に彼がよんだ和歌なども衒気がなくて実に素直なものであった。
(出典:坂口安吾『親が捨てられる世相』)
類語
・淡泊(たんぱく)
意味:性格や態度がさっぱりしていること。こだわりやしつこさがないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・あっさり
意味:人や物事の状態、性質が、複雑でなく、淡泊平明であるさま。しつこくないさま。あっさら。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・すっきり
意味:言動、気持、態度に滞るものがなく、快いさまを表わす語。未練がなく、きっぱりしたさま。また、ものが見た目にさっぱりとしたさまを表わす語。さっぱりと。きちんと。(出典:デジタル大辞泉)
素直の意味⑤「物事が支障なく、すんなり進行するさま。」
「素直」の五つ目の意味は「物事が支障なく、すんなり進行するさま。」です。
「素直に渡せば勘弁してやる」で「すんなり渡してくれれば許してやる」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼の通ってゆく途中の一軒一軒が、彼を素直な気持で入らせなかった。
(出典:小林多喜二『雪の夜』)
・こんな風に親族会議という儀式張った空気は少年の素直な答えを阻んだ。
(出典:きだ・みのる『道徳を否む者』)
・この二人の現実はこんな美しく素直なものではなかったはずだ。
(出典:三浦哲郎『忍ぶ川 他』)
類語
・すんなり
意味:おだやかなさま、抵抗感がなく、すなおなさま、さしさわりなく、ことがはこぶさまなどを表わす語。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・何無い(なんない)
意味:とり立てていうほどのことはない。平凡である。また、差し障りがない。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・恙無(つつがなし)
意味:健康である。無事である。故障や異常がない。つつみなし。(出典:精選版 日本国語大辞典)