祝儀
「祝儀をはずむ」などのように使う「祝儀」という言葉。
「祝儀」は、音読みで「しゅうぎ」と読みます。
「祝儀」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「祝儀」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
祝儀の意味
「祝儀」には次の四つの意味があります。
1 祝いの儀式。特に、婚礼。
2 祝意を表すために贈る金銭や品物。
3 祝いのあいさつ。祝意を表すための言葉や歌など。
4 芸人・芸者・職人やその他サービスをしてくれた人に与える心づけ。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
祝儀の意味①「祝いの儀式。特に、婚礼。」
「祝儀」の一つ目の意味は「祝いの儀式。特に、婚礼。」です。
何かのお祝いをするための式典や行事のことで、特に結婚式のことを指します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・故郷から両親や親類のものが出てきて、祝儀の当日になった。
(出典:矢田津世子『女心拾遺』)
・あたしいつか、こちらさまの大旦那の還暦のご祝儀がございましたわね。
(出典:岡本かの子『河明り』)
・今日の祝儀のお客は、私一人で十分だと思うほどの愛情、その私が遠く離れていることが寂しかったのだ。
(出典:川端康成『伊豆の踊子・禽獣』)
祝儀の意味②「祝意を表すために贈る金銭や品物。」
「祝儀」の二つ目の意味は「祝意を表すために贈る金銭や品物。」です。
言い換えると、お祝いとして贈るお金やプレゼントのことで、特に結婚する人に渡すお金のことを指します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・井崎は瑛子が小さな店を開き、そこへ祝儀を持って行く場面を空想した。
(出典:山口瞳『人殺し(下)』)
・祝儀にもらったものだろう、さまざまな装身具をいくつも身につけている。
(出典:西東行『鳥は星形の庭におりる』)
・ある人の家で慶事があったので、その友人が祝儀を包んで祝いに行った。
(出典:駒田信二『中国笑話集』)
祝儀の意味③「祝いのあいさつ。祝意を表すための言葉や歌など。」
「祝儀」の三つ目の意味は「祝いのあいさつ。祝意を表すための言葉や歌など。」です。
何かしらのめでたい場面やお祝いの席で述べる、お祝いの挨拶のことです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・祖父の代には七草の朝は、皆な揃つて早朝に起きて元日のやうに祝儀を述べた。
(出典:牧野信一『熱海へ』)
・上野介は、正之に、祝儀を述べたのちに、式次第を教授するため、お万の方と対面した。
(出典:柴田錬三郎『(柴錬立川文庫7) 毒婦伝奇』)
・フェッジウィッグ夫妻は入口の両側に一人ずつ陣取って、誰彼の差別なく男が出て行けば男、女が出て行けば女と云うように、一人々々握手を交して、聖降誕祭の祝儀を述べた。
(出典:森田草平『クリスマス・カロル』)
祝儀の意味④「芸人・芸者・職人やその他サービスをしてくれた人に与える心づけ。」
「祝儀」の四つ目の意味は「芸人・芸者・職人やその他サービスをしてくれた人に与える心づけ。」です。
ひとことで言い換えると、チップのことで、何かサービスをしてくれたお礼に渡すお金のことを言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・煙草を買いに出させる度毎に剰銭を祝儀にくれたお客にも会って見たくなった。
(出典:永井荷風『羊羹』)
・職人は少ない祝儀でも貰うと貰わないじゃ、仕事のできが格段に違うのさ。
(出典:宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 さんだらぼっち』)
・玄関番として客がくれる祝儀は、もらってもなんら恥ずべきことはない。
(出典:森村誠一『棟居刑事の情熱』)