破棄
「契約破棄」などのように使う「破棄」という言葉。
「破棄」は、音読みで「はき」と読みます。
「破棄」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「破棄」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
破棄の意味
「破棄」には次の三つの意味があります。
1 破り捨てること。
2 契約・取り決めなどを一方的に取り消すこと。
3 事後審査を行う上級裁判所が、上訴に理由があるとして原判決を取り消すこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
破棄の意味①「破り捨てること。」
「破棄」の一つ目の意味は「破り捨てること。」です。
書類などの他、パソコンのデータなどを消去することも「破棄」と言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・その手紙はむろん破棄いたしましたが、内容は完全に憶えておりますのだ。
(出典:デュラス/三輪秀彦訳『ジブラルタルの水夫』)
・証拠となるべき書類をすっかり破棄した。
(出典:A・C・ドイル『新潮文庫 シャーロックホームズ全集 恐怖の谷』)
・繰り返しますが、嘘だと思うならこのメールを破棄すればいいのです。
(出典:田中啓文『私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その1 蓬來洞の研究』)
破棄の意味②「契約・取り決めなどを一方的に取り消すこと。」
「破棄」の二つ目の意味は「契約・取り決めなどを一方的に取り消すこと。」です。
個人的な約束から、国際間の取り決めまで、約束事を取り消すことを幅広く意味します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ぼくの中で、あの約束をいったん破棄することが必要だったからだ。
(出典:吉村達也『ワンナイトミステリー6 「シアトルの魔神」殺人事件』)
・その契約を破棄することは絶対にできないのだと思いこんだまま。
(出典:島尾敏雄『出発は遂に訪れず』)
・たしかに日ソ中立条約は破棄されたが、まだ約一年の有効期間がある。
(出典:半藤一利『聖断 天皇と鈴木貫太郎』)
破棄の意味③「事後審査を行う上級裁判所が、上訴に理由があるとして原判決を取り消すこと。」
「破棄」の三つ目の意味は「事後審査を行う上級裁判所が、上訴に理由があるとして原判決を取り消すこと。」です。
この意味では法律用語として使います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ニュー・トライアルを命じ、次には州の有罪判決を破棄している。
(出典:伊佐千尋『検 屍 M・モンローのヘア』)
・最初の判決は破棄されるという一条はもちろん入れますよ。
(出典:スタンダール/大久保和郎訳『パルムの僧院(下)』)
・最高裁は原判決を破棄、全員一致の法廷意見は要旨、次のようなものであった。
(出典:伊佐千尋『検 屍 M・モンローのヘア』)